昨日はうっかりソファーで寝てしまったから早めに寝ようとしてたのに。
 相変わらずというか、何というか。
「おい」
 人の布団の中で丸くなっている犯人に話しかけたが、反応は無かった。
「そこのデリカシーゼロスケ」
「んー……」
 絶対追い出してやる。
 こちらも意地になり、掛け布団を剥いだ。
 想像していたほど力を加えず奪えたので、ざまあみろ、と言ってやるつもりだった。
「俺の勝ちだ」
 しかし、相手の方が一枚上手だったらしい。
「ちょっ……」
 前のめりになった瞬間手首を掴まれ、あっさりと彼の腕の中に収まった。
「早よ寝たいんやけど」
「どうぞお先に」
「いやいやいや……」
 そういう意味ではなくて。
「アンタのはあっちやろ」
 並んで置いてあるベッドを指さす。
 昼間に洗ったばかりのシーツがぴんとかけられていた。
「動くのめんどくさい」
「元気有り余っとったやないか」
「今無くなった」
 子供、と呟く。
 反撃のつもりか、不意討ちをかけられた。
 身体が急に熱くなる。
「相変わらず耳弱いな」
「──っ、あほ!」
 続けて首筋に歯をあてた。
 驚き、短い悲鳴のようなものを上げる。
「そんな声出すなよ」
「アンタが変なことするからやろ!」
「んー」
 まだまだ余裕があるようで、彼は笑みを浮かべている。
「……わかった、降参」
 勝負事に負けるのは悔しいが、反撃する体力もない。
「お言葉に甘えて先に寝させてもらうわ」
 そのまま彼の腕の中で意識を手放した。


幸せなこの気持ちを手放したくない





『結婚話でボス攻め』ということで。
結婚話でもボス攻めでもないようなこんな微妙な話ですみません!
い、いかがでしょうか…?
こんな文で申し訳ありません!

12.11.10






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