──ヒメコちゃんのこと、どう想ってる?
「え…で? …何?」
「は?」
「いやいや、聞かれたんだろお前」
 淡々と──何事も無かったようにそう話す彼女は、意外そうな声を出す。
「何て…答えたんだ?」
 ヒメコは、
「…………」
「お前何て答えたんだよ」
 ヒメコは…どうなんだ?
 オレの事、どう想ってんだ?
 オレの事──、
「別に」
 好きなのか?
「何とも思ってねぇぜ……って」
 ゆっくりと瞼を閉じる。
「そうか」
 胸が締め付けられるように痛い、苦しい。
「ア…アカンかった? アンタやないから正解わかれへんもん。アンタやったら、何て答えたん?」
 ──ああ。
 そうだな。
 ヒメコはスケット団の二人目の部員で、紅一点で、唯一の武闘家。
 中学は違ったけど、一年生からずっと同じクラス。
 あとは……ツッコミ担当とか?
「うん」
 意外と家庭的とか。
「まあ…」
 それだけだ。
「オレも同じように答えただろうなァ」
 その瞬間。
 脳裏にあのときの彼女の姿が浮かんだ。
「そらそやろなァ」
 気のせいだと思いたかった。
「もう寝よか」
「ん…ああ、寝るか」
「…………」
 秒針の動く音だけが聞こえる。
「まあ、そんな事…今まで考えた事もなかったからなァ…」
 ──違う。
 向き合わなかったんだ。
 自分の気持ちに。
 もちろん、女子にモテたいという気持ちはある。
 でも、自分が好きになる人のことなんて、考えたことがなかった。
 考えたくなかった。
「今まで…」
 考えなきゃいけねぇのかな。
 愛とか、恋とか、──好きな人とか。
「……」
 ──よくわかんねぇよ。
 どんなに考えても、何も出てこない。
 思考回路がショートする前に、意識を手放した。


スタートラインはまだ見えない





よくわからないシリーズです。
タイトルに意味はありません。
ただ私が弟の影響でちょっぴり鉄道好きなだけです。

12.10.14






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