もう何度目かわからないデートの帰り道。
 繋いでいる手を離すのが惜しく、スローペースで歩いている。
「……ひめ」
 突然名前で呼ばれ、身体が跳ねる。
 ずっとあだ名で呼び合っていたため、名前呼びに慣れない。
「何や」
 踏切に捕まり、足を止めた。
 赤いランプが交互に点滅している。
「あのさ、──」
 彼の台詞はけたたましい踏切の音と大きく車体が跳ねる音に紛れて消えた。
「何て?」
 電車が過ぎ去る。
「聞こえてた?」
「あのさ、まで」
 踏切がゆっくりと開く。
「カッコ悪ぃなぁ、俺」
 照れ隠しに頭をかいた後、真っ直ぐこちらを見つめた。
 ──一緒に幸せになろう。
 どれくらい固まっていたのだろうか。
「そ、それって、どういう……」
 指輪も何もないけれど。
「だからさ」
 彼は強く抱き締めてくれた。

完成のンチェルト
「俺と結婚してください」





プロポーズ……なのか、これは。
私もプロポーズネタを秘かに温めていたので、これをきっかけに書くか! と勢いで書いたものの、小説向きの内容でなかったので諦めました。
結局、ザ・シンプル(←?)に。
今思えば暗号なんてわかりにくいネタ使わなくてよかった……。
こんな文で申し訳ありませんが、よろしかったらお受け取りください!
素敵なリクエストありがとうございました!

12.10.7






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