* 日が暮れるとだいぶ肌寒かった。 もう衣替えの季節か。 ふとそんなことを思いながら、箪笥の上の衣装ケースに手を伸ばす。 その時、爪先立ちでいたからかバランスを崩してしまった。 まずい。 思わず目を瞑る。 「……あれ」 痛くない。 恐る恐る瞼を開くと、もう二つの手がケースを支えていた。 「っぶねーな」 「ボッスン」 間抜けな声が出た。 そのままゆっくりとケースを床に置く。 「だからいい加減あだ名で呼ぶのやめろよ」 「昼寝しとったんちゃうの」 無視か、と小さな声で呟いた。 「なんか寒くてあんま寝れなかった」 照れくさそうに頭をかいている。 「子守唄うたってやってもええで。アタシそんなんごっつ得意やねんで」 「子供扱いすんなよ」 控えめに彼の身体に寄り添った。 「じゃあ、アタシが添い寝してやろか」 頬に唇を落とされる。 「お願いしようかな」 身体がふわりと宙に浮いた。 人肌の恋しい季節 離れないで、傍にいて 良いタイトルが思いつかない。 気づいたら暗いのばかり書いてしまうので、甘いのを目指しました。 ……はずなんだけどなぁ。 12.10.5 〇 |