昔むかし、あるところに赤ずきんを被った女の子がおりました。
『女の子というキャラではないがな』
「ちょおお前出番まだやろ!」
 女の子はツッコミが上手かったそうな。
「なんや日本昔話みたいになっとるんやけど」
 赤ずきんちゃんはお母さんとふたり、小さな村で暮らしておりました。
 ある日、お母さんからこんなことを言われました。
「ヒメコちゃん、結木さんが風邪をひいたらしいからお見舞いに行ってきてくれる?」
「ちょお待てや!!」
 赤ずきんちゃんはお母さんに渡された人形焼きを地面に叩きつけました。
「色々ツッコませてもらうぞ! 何でアタシのオカンがロマンになっとんねん! それになんかこう……統一せぇや! 『赤ずきんちゃん』と『おばあちゃん』に!!」
 赤ずきんちゃんは嫌な予感がしたそうな。
「ほんで何で時々日本昔話風になんねん。あぁ、先が思いやられるわ」
「意外性をつくのがプロの少女漫画家よ」
「今それ関係ないやろ」
 お母さんは得意気にくるりと一回転をしました。
  ┐
 意
 外
 性
 を
 つ
 く
 の
 が
 プ
 ロ
 の
 少
 女
 漫
 画
 家
 よ

「お願いやからめんどくさいことせんといて。打つ方もツッコむ方もしんどいねん」
 赤ずきんちゃんはため息をつきました。
「大丈夫よ。私に任せて! せぇの!」



 赤ずきんちゃんは森の奥にあるおばあさんの家に着きました。
「ちょお待て!!」
 はい?
「話跳びすぎやないか!?」
 ──それは私の力よ!
「お前か!! ……でもなんか納得やわ」
 扉をたたくと、低い声が返ってきました。
「どちらさま?」
「アタシや。ヒメコや。お見舞いに来たで」
「鍵は開いてるから入っておいで」
 家の中に入ってみると、おばあさんはベッドで寝込んでおりました。
「思っとったよりも風邪ひどいなぁ。声ガラガラになってん、呪いの人形焼きよりペロキャンの方が良かったんちゃう?」
「そう。風邪をこじらせちゃって動けないの。だから赤ずきんや、もうちょっとこちらに来て可愛いお顔を見せておくれ」
 赤ずきんちゃんはベッドに近づきました。
「……なーんて言うと思ったか!」
 なんと、それはおばあさんではなく狼だったのです。
「食ってやる!!」
 赤ずきんちゃんは狼のみぞおちに蹴りを入れました。
「おぉ……ふ」
「狼の演技上手い思っとったらお前かボッスン!!」
 狼は痛くて涙を流しています。
「そういえば結木さんは」
 赤ずきんちゃんは周りを見渡しました。
「童話パロディより怪談がしたいからって帰った」
「そこは止めなアカンやろ!!」
 赤ずきんちゃんは狼に怒りました。
「この際ツッコませてもらうぞ。なんやねん、そのダルンダルンなパーカー。前閉めろや」
「ああ、これはな」
 狼は赤ずきんちゃんを上着で包みこみました。
「こうやってお前を食べるためさ」
 そして上着の前を閉めてしまいます。
「何で!? それ腹やったんかい!」
「だって人丸飲みなんかできねーし! 腹切られたらどうよ!? その先は……死」
「お前ならええんとちゃう? ってか苦しいんやけど」
 赤ずきんちゃんは必死に抵抗します。
「俺ねみーから次の出番まで寝る。起こすなよ」
「なぁ! アタシの台詞ガン無視か!? 苦しい言うてるやろ!」
 そして狼は大きないびきをかいて寝てしまいました。



 そのときおばあさんの家の近くを通りかかった狩人が、狼のいびきを聞きつけました。
『やっと俺の番か。──ん? 何だ、このいびきは。あのオカルトマニアのものではないな』
 おばあさんの家を窓から覗いてみると、狼がベッドで寝ていました。
『台本はどこだ? ……ふむふむ』
 狩人が家に入り、ナイフを持ちながら狼の上着を開けてみると、一人の女の子が出てきました。
『ヒメコ、出番だぞ』
「う〜〜ん……」
『……』
 赤ずきんちゃんはそのまま寝てしまったみたいです。
『……見なかったことにするか』
 狩人は再び上着を閉めました。
 おしまい。


ハッピーエンド





すみません色々とブッ飛んだ文が出来上がりましたすみません。
これは私の文章なのでしょうか(こら)。
初めてパロディ書きました。
そして、初めて心理描写ではなくナレーターを配置してみました。
ボスヒメのところは書いてて恥ずかしくて短くなってしまいました。
半分もリクエスト通りになってないのですが……どうでしょう?

12.10.1






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