* 久々に親子で買い物に行った。 男子高校生にもなると母と二人きりで出掛けるのは恥ずかしいものだろう。 しかし夕食後のデザートで釣り(相変わらず子供だ)、買い物に繰り出した。 お陰でいつもより帰り道の足取りが軽い。 「いや〜〜、悪いね!」 「母ちゃんここぞと重いもの買っただろ……」 佑助の買い物袋には牛乳や缶詰などが入っている。 「良いじゃない。そんなんでも男子高校生なんだし」 「何の筋トレだよ!! オレ一応文化部なんですけど!」 「だって運動部の助っ人とかもあるんでしょ?」 「それは基本ヒメコが……」 突然足を止める。 正面を見てみると公園の叢に上半身を埋めている人の姿があった。 「……何してんだ、ヒメコ」 溜め息混じりに声を掛ける。 まさかとは思ったが、その低い声に反応し出てきたのは、ちょうど噂をしていた彼女だった。 「あ、茜さんこんにちは! ボッスン何しとんの?」 「いやだからこっちの台詞だよ」 「アタシ?」 ほら、と叢に突っ込んだままだった両手には子猫をしっかりと掴んでいる。 「可愛らしいやろ?」 黒と茶色のブチの──所謂三毛猫だった。 「あらー、可愛い」 「すごい光景だったけどな」 ふと息子を見てみると、猫を優しく撫でる彼女を見つめていた。 その目があのとき彼が彼女を見つめているのと全く同じで。 「──親子ね」 「え? お母さん猫?」 猫を大事そうに抱き抱える彼女の姿も同じだった。 既視感ループ ただ笑ってただけのあの日々が甦る 誰か私にタイトルセンスください(挨拶)。 三毛猫をブチって言い方して良いのかはツッコまないでください。 波瑠さんとヒメコが『彼女』、亮輔さんとボッスンが『彼』でややこしくなりました。 だから余計ややこしくするな。 12.9.25 〇 |