ただい、ま?

「というわけで、私と真白は付き合うことになりましたので、彼女に手を出さないように。特にレン」

「おっと、ひどい言われようだね」

「春歌気をつけて。近づいたら孕むぜー?」

「はうっ!?」

現在、オーディション終了後の一十木&トキヤの部屋。そこで皆集まって私のお帰りパーティーと、優勝おめでとうパーティーを開いているところだ。ここから察せるように、優勝したのは私とトキヤのペア。お情けじゃないのか…?と早乙女をつついてみたが、そんなんだったらデビュー後早々に潰れるため学園の評価を落とすことになるから、するわけがない。だそうだ。つまり、実力で優勝をもぎ取ったのだ!七海を抑えて、っていうのが若干納得がいかないが、まぁ、私もそれなりに成長して…大半はトキヤの歌唱力だろうなぁ。

「真白。何をぼーっとしているのです?」

「あ、いや…ちょっと、感慨深いというか、なんというか。チートの私をよく受け入れてくれたね皆、とか」

「真白ー!ポッキー食う?」

「食う、食う!くれ!」

一十木からポッキーの袋をもらうと、ガサガサと開ける。チョコレートコーティングが、いつ見ても美しいポッキーを口にいれ、もももも、と食べていく。ああ、美味しいなあ。

「そういえばよぉ」

翔がにじり寄ってきた。なに、と耳を傾ける。

「あの状態からよくお前ら交際までこぎつけたよな」

「…うんまぁ。月日は人をかえるんだよ」

あは、と苦笑いをして翔の口にポッキーを押し込む。

「サンキュ」

にかっと笑った翔は、さすがアイドルといえるくらいにキラキラしていた。

「ふっふっふ…。あたしと春歌で根掘り葉掘り聞いてやるから、覚悟しなさいね!」

「ふえ!?」

「友千香えげつない!なにそのガールズトークなノリ」

「憧れじゃない」

比較的カロリーの低い菓子を頬張る友千香が悪魔に見える。隣の七海がたしなめているが、あの目は……共犯者の目だ。これからの展開が読めて頭が痛くなってきた。ぐりぐりとこめかみを刺激していると、真斗が台所から戻ってくる。その手には綺麗な和菓子の乗った皿があった。

「家からもってきた。じいが、みんなで食べるように、だそうだ」

「ひゃっほう!真斗くんさいっこう!大好き!」

和菓子をつまみ、じっくりと鑑賞する。和菓子って可愛いよね…。そんな可愛さの中にも存在感がどーん、とあり、堂々とした佇まいが素晴らしい。和菓子を口に運ぼうとすると、突然腕をひかれた。犯人はトキヤ。

「……あの、なんですか」

「……」

「え、えっと…」

無言でじっと見られても、わかりません…。和菓子が欲しいのかな。皿に手を伸ばそうかと考えているとレンの笑い声が聞こえてきた。

「っはは!イッチーが嫉妬とはね。なかなかにレアな光景だ」

「嫉妬!?」

仰天してトキヤの顔を見ると、すごく不満そうな顔をしていた。え、私何したっけ。と思っていると、トキヤに引き寄せられた。額にちゅっ、とキスをされる。

「えええええ!?」

「君は私の恋人です。誰彼かまわず、好きと言うのはあまり感心しませんね」

つん、と額をつつかれ、あ……と気づく。そうか、真斗に好きと言ったのに嫉妬したのか。なにそれ可愛い。

「ごめんなさい。だ、大丈夫ですよ!私が本当に好きなのはトキヤさんだけですから……」

小さな声でそう言うと、トキヤは笑った。当たり前です。なんて憎らしいセリフもつけて。

「遅れてすみませんー」

「あ、那月ー」

扉を開けて入ってきた那月は手に何かを持っていた。タッパーのようだが…。

「えへへ、クッキーの作り置きがあったのを思い出して、もって来ちゃいました」

『………』

レンを除いて全員が若干後ずさる。あんな危険物食べて平気な顔をしてるのはレンくらいのもんだっての。

「今回のは自信作なんです!ほら、うさちゃんに、くまさんに、ピヨちゃんもいるんですよぉ」

「へ、へえ……見た目は可愛いじゃん?」

引つりながらコメントをすると、そうでしょう!?と彼はキラキラした目を向けてきた。

「是非、食べてもらいたくって…」

「音也!翔をホールドするんだ!」

「いえっさー!」

一十木は翔を背後からガッチリと確保すると、こっちに向かって頷いた。那月からクッキーを受け取り、ふふふとにじり寄る。

「ちょっ、やめ!え、マジ!?嘘だろー!?」

「や、これは定番だからやっとこうかなぁ…と」

「真白てめぇ後で覚悟し……ぐふっ!?」

凶器を口の中に押し込むと、数回咀嚼したあと昇天した。やっぱり毒か…と呟く。


ああ、戻ってきたんだなぁ。みんなのところに。


これからも私は、きっと色んな困難にぶち当たると思う。こっちでの仕事でもそうだし、もしかしたら仲間と喧嘩するかもしれない。けれど、こっちに来たことを後悔することだけは、ないようにしたいな。私の判断は正しかったんだ。みんな、私をあたたかく迎えてくれたし、いつもどおりに接してくれる。

じいちゃん、ばあちゃん。向こうの大切な友達みんな。私は…ちょっと次元を突破した場所で、めちゃくちゃいい仲間を作って、のんびり楽しい生活を送っているからね。人生を全うしたとき、胸張って二人に会えるようになりますからね!

深く決心をし、私は甘い甘い和菓子を口にした。



――――――――――――
えーと…完結しました。
あとは番外編で二人をイチャコラさせることに集中したいと思います。さて、これで荷は降りた!先輩連載を心おきなくスタートできるぞー!

ここまでお付き合いくださりありがとうございました。結構むりやりな部分もありましたが、そこはパワーですっ飛ばしてくださいませ(笑)あんまりにもおかしかったら修正加えていきますよー。では、番外編もよろしくお願いいたしますっ!

13.05.19






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