ぱーちい ひゃっほう!今日はなんかクリスマスパーティがあるみたいだね!全員ほとんど強制参加らしい。キラキラした会場、キラキラした照明、キラキラしたドレス、キラキラしたアイドルコースども! と、おそらくパーティ会場はこんな感じなんだろうなぁー。え、私ですか。私はですね、ええと、そのぅ。昨日ついつい作曲に夢中になって寝るのを忘れてしまい、顔面が酷いことになっていたので最初の方だけ顔を出してあとは 「ちょっと人に酔ったみたい風に当たってくるぜ!」 というノリで抜け出してきた。いや、別に中二病とかそんなんじゃなくて、本当に、薄い化粧(この時は化粧許されたらしい)でくまは誤魔化したけど、あまりにも酷い顔面なので!キラキラオーラの中には居づらかったのです。 あとは、そうだなぁ…森の広場に行けばセシルに会える気がして。実は煮干持ってこようかと思いました。流石に自重したけれど。 「っと…ぐだぐだ言ってる間に、とうちゃーく。セシルー?今日は聖なる夜だよー。ぬこにゃーん、でておいでー」 ドレスを捌いてベンチに座ると、小さめの声であたりを見回した。流石に夜には都合よくいないか。と笑って、ぐったりと背もたれに体を預ける。 「お、星が綺麗」 視界に入ってきた、満天の星空。都会なのに、今日は星が綺麗に見える。少し肌寒いけれど、気にするほどではなかった。 「……。家族、どうしてるだろうか」 田舎の方にあった私の家では、夜に外に出ればこれの比ではないくらいの星が見えた。だから夏になると学校主催で星見が開催されたなぁ。学校の屋上におにぎりとかお菓子とか持参して、たっぷり何時間も星を見ながら友達としゃべるの。すっごく楽しかった。 「……」 どれくらいの時間、そうしていただろうか。さく、さく、と草をふむ音で体を起こした。音のする方に視線をやると、やっぱりきた。セシル。 「ハジメマシテ、プリンセス。そのような場所でなにをしているのですか?」 「ふふっ、星を見てたんだよ。…貴方はだぁれ?」 「セシルと申します。………麗しのプリンセスの名前を伺ってもよろしいでしょうか」 妙にカッコつけた人間バージョンのセシルは、ベンチに座る私の前に片膝をつくと、手を胸においてこうべを垂れた。 「…真白ですよ。異国の王子様」 「真白…。素敵な響きのする名前です…」 「ありがとうセシル。君も私の名前の素晴らしさがわかるようだね。うちのじーちゃんばーちゃんが無い脳みそしぼって考えてくれた幸福の名前なんだよ」 さてセシル。と立ち上がる。そして未だに膝をついてるセシルに手を伸ばして笑いかけた。 「一曲、踊りませんか?」 「………本来、それは男がいうセリフだと思うのですが……」 「おや、男前な姫さんは嫌いかな?」 くすくすと声を漏らして、ひらひらと手を振る。 「むぅ。…せっかくいい雰囲気だと思いましたのに…」 「はいはい。君にはそんなの似合わないよ。大人しく猫のように出されたものに食いついていればいいの」 「本当に気づいていたのですね」 「うん。だって知ってるから。で、踊るの踊らないの。というかここで断られたら私の立場無い。曲はセシルが魔法っぽいやつでどうにかしろ」 むちゃぶりしてる自覚はあるけど、そうでもしないと、似合わないことをしてる恥ずかしさで声が上ずってしまいそうだった。セシルはゆっくりと立ち上がり指を鳴らす。 どこからか、聞いたことのあるワルツが流れてきた。それと同時にセシルに手を引かれる。ぐいと腰をさらわれ、密着した。 「ち、ちょ!近くないかい!?」 「強引な王子は嫌いですか?」 「………くそう反撃された」 絶対頬赤い。むくれながらワルツを踊る。いや、踊り方を知らないからセシルに合わせているだけだ。たしか選択授業でダンスがあったっぽいけど、私は取ることはなかったからなぁ。踊り方なんぞ知らんわ。 それなのに足を踏まない私を褒めて欲しいくらいだね。 「真白。今日のアナタは一段と綺麗ですね」 「おっとセシルくん。それは殺し文句すぎだろ」 「本当のことを言ったまでですよ。ドレスも上品で好ましいです。このままワタシの国に攫っていきたい」 素敵スマイルで冗談みたいなことを言うからこいつは怖い。 「……セシルはさ。どうして私の前に姿を現したの?今日」 「呼ばれた気がして。それと、アナタと人間としてのひと時を過ごしたかった」 「なるほど。………今日の春歌は一段とべっぴんさんだよ?見に行かなくていいの?踊りに誘わなくていいの?」 「そっ、そんなこと…デキマセン」 いきなりポッと頬を染めたセシルを、どう料理してやろうかと拳を震わせる。え、殴っていいの。なにその乙女みたいな反応。 「ははーん、できないから私で我慢って感じか。あーあー、私はどうせ代わりなのね!真白ちゃんショック!」 「そういうことじゃありません!……ミューズを誘うなんておこがましい…」 「わ、た、し、は、い、い、の、か!」 「うそうそ、嘘ですよ!」 ――アナタも、ミューズの魂を持っているのですが…。 「…え?なんか言った?」 ぼそり、と何かを言われた気がしてセシルと視線をあわせると、なんでもないと誤魔化される。ううむ、怪しいが詮索しすぎるのは悪い気がするな。曲がちょうど終わったこともあって、ここは引いてやることにした。 「真白」 「んー?」 「もし時間があれば、もう一曲いかがでしょうか」 ―――――――――――― やっとセシル出せました。でもキャラが迷子の気がする。 カタコトキャラは何処へ………。 13.04.19 ← |