バレた。

バレた。私が異世界の人間だと。いいや、バレたというか、自分でバラしたんだ。たまたま曲を聞かれてしまって、話さなくてはいけない状況まで追い込んでしまったのだ。まぁ、結局心のどこかで楽になりたいっていう気持ちがあったからなのかもしれないがね。ともかく、七海と教室の一角で、ひっそりと話していたのだ。

「……というわけなんだよ、春歌ちゃん。ごめんね、今まで黙っていて」

「そ、それはその……」

「…気持ち悪い?軽蔑した?全てを知ってるくせに、傍観してるだけの私を恨みたい気持ち?それでもいいよ。私はそれだけのことをしてきたんだから」

まっすぐに見つめてくる七海が辛くて、私は視線を落とす。七海からの返事が来るのがひどく長く感じた。

しばしの沈黙のあと、七海は声を搾り出す。

「……それは、怖いです。やっぱり、ちょっと嫌です」

ぐさり、と心に重い何かが突き刺さった。呼吸が止まりそうになって、苦しさに涙がにじむ。それ以上七海の声を聞いていたくないのに、七海の言葉に口を挟めなかった。でも、と七海が続けた。

「だけど、それだけじゃないですか。今、私が話しているのは速水真白ちゃんです。ほかの誰でもない、貴方なんですっ!」

「え、えーと…」

がしっ、と手を握られ、私は目を見開いた。目の前の七海は、とてもキラキラとした目つきをしている。

「未来を知ってるなんて、ちょっとしたびっくり人間なだけですよ。だって真白ちゃんは、私たちと同じように、笑って、喋って、ご飯食べて、お菓子も食べて、ちょっと体重に悩んでる普通の女の子じゃないですか!」

「おいこら春歌ちゃん、きみは……」

「だから」

ぎゅ、と掴まれた手に力がこもる。

「だから、そんな、今にも消えたいっていう表情しないでくださいよ…………」

「…春歌、ちゃん…」

「私にとって、真白ちゃんは大切な友達なんです。ほかの人にとってもそう。もう、大切な友達っていうポジションに固定されてるんです。今更、離脱しようなんて許しませんよ。初めて出来た友達なんですから!」

「……優しいね、君は」

握られている手を振りほどくと、七海をぎゅっと抱きしめた。そうか、あまりにも簡単な言葉でほだされてしまったように思えるけど、本当に簡単なことだったんだ。七海に知られて、それを気持ち悪いと言われなかった。私は、拒絶されることが怖かったんだ。

皆が皆、そうとは限らない。だけど、確実にひとり、信じることができる人間がここにいる。それだけで私はここにいてもいいんだよ、と許されたような気分になった。

「ありがとう」

感謝を伝えたい。まだ、皆にこのことを話せるとは思わない。し、機会がなければこのことを知るのは七海だけという状況になるだろう。でも、七海は私を救ってくれた。自分の悩みなんて、他人からすれば本当に小さなことなんだね。これが悩みをひとりで抱え込んではいけないと言われる理由。

なーるーほーどー。私は実感した。そして、脱シリアスとなるのだ。これからまたはっちゃけて、理由は適当につけて仲直りして…………一ノ瀬の曲をつくりたい。

「ありがとう、春歌ちゃん。私まだまだ頑張れそうだよ。あ、今日のことはどうにか……」

「秘密、ですよね。わかってますよ」

「うん。お願いね、春歌ちゃん。………じゃあ、私は部屋に戻るよ」

七海に手を振って私は教室を出た。久々にふわふわとした気分になった気がしたよ。今度、お礼にお菓子でも持っていこうかな。


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脱シリアス!よかった面倒だったんd(殴
ふぅ!テンション上がります!
13.03.23






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