興味 「やぁ、レディ…いや、四季か」 「……えっと。きのうの、おれんじの、ひと」 「オレンジの人はひどいなぁ。レンだよ、レン。覚えて?」 「レンてめぇ何しにきたー」 エイドとの剣の練習中、レンがひょっこりと顔を出した。ニヤニヤと笑いながら木刀を持ち、近づいてくる。ねぇ。と四季に声をかけた。 「エイドとじゃなくて、俺とトレーニングしない?少なくとも、コイツよりかは強いぜ」 「うわっ、嫌味なやつー。どうする、四季?レンのやつ、腕は確かだぜ」 「わたしの、せんぱいは、エイド、だけ。エイドが、きめて」 じとー、と見てくる四季の額を軽く小突くと、エイドは行ってこい。とだけ言った。強い、と聞いてソワソワと動く手を見てしまったのだろう。なんだかエイドは複雑な気持ちだった。 「わか、った。いって、くる。レン、やろう」 「そうこなくっちゃ。ちょうど四季とは手合わせしたかったんだ」 「大人気ないことするなよー」 「るさいエイド」 冗談のように言ったエイドを軽く睨むと、ステージに上がった。すでに四季は準備ができているようで、剣を構えている。また、独特の構えだな…とレンは呟く。 「いこっか」 「いつでも、いい」 「じゃあ、遠慮なく」 一歩踏み出し突き出されたレンの剣を流し、小柄なことを利用して懐に飛び込む。一気に勝負を付けるつもりだったが、レンは予想以上に素早く動き、四季を交わす。そして連続して剣を叩き込んだ。 「……びっくり。ほんと、エイドより、つよい」 しばらくして剣を落とした四季は、唖然とした表情でレンを見上げた。 「五つも年下に負けるようなヤツじゃないよ」 「つよ、い……すごい、……なのに、エイド」 「やめて!エイドの名を引っ張り出さないで!!」 四季の視線に耐え切れなくなったエイドは叫んで顔を覆った。からからと楽しそうにレンは笑い、座り込んだままの四季に手を伸ばす。 「?」 「ほら、立ち上がって」 ひらひらさせた手を掴むと、そのままぐいと引き上げられた。おー力持ち。と四季は感心する。 「……また、いっしょに」 「よろこんで、四季ちゃん。……君のことも知りたいしね」 「わたしの、こと?」 「そう。可愛らしい君のこと」 その言葉に特に反応せずに、四季はエイドの元に駆け寄った。よしよし、と寄ってきた四季の頭を撫でると、レンに言葉をかけて部屋を出た。 「……あいつもな、いろいろ複雑なんだよ」 「ふくざつ、」 「そう。……まぁ、グレるだろうなぁ。あいつが一番"薔薇の騎士団"に反感を抱いているだろうからなぁー」 四季の頭を、一瞬アクトのことがよぎる。ぎゅっと自分の手を握った。レンもアクトのようなものなのだろうか。憎くて、恨んで、反抗して。 いつか太陽のような髪をもつ彼も、その手を赤く染めてしまうのだろうか。まだまだ続くエイドの、レン語りを聞き流し、少しだけレンに興味を持った。 |