「うーん、こんな感じかなぁ……」
「あははっ!!なにそれ、いいー!!」
「ふふん、どやぁ」
コピックを置くと、私は自慢げに目の前の紙を持ち上げた。それを見た音也は爆笑する。うん、それ!と目に涙を浮かべながらゲラゲラと。しまいにはバタバタと足を動かし始めた。そこまで喜んでくれると、描いてみた甲斐があります。え、何を描いたかって?それはね…う、ふ、ふ。
「女体化なつき&しょうこちゃん!!」
「あははははっ!!へー…うまいもんだねぇ」
笑い疲れた音也は、ようやく足を止める。向かいに座る音也にVサインをして、紙を机に置いた。そして散らばったコピックを回収する。うん、着色までして何してんだ私。いや、暇だったんだよ。放課後だし。うん。
「那月…爆乳だと思う」
「あー、ね」
「翔はつるぺた。断崖絶壁、まな板、ひんぬー」
「身長と同じくな」
「ぎゃははは!あーもう!私の才能が怖いっ!」
デフォルメされたキャラを見て、うんうんと頷く。音也は、自分がターゲットにならない限り、こういうの楽しんでくれると思うんだ。ターゲットにするつもりである。後で。さてしまって帰るか、というところになって、突然背中に何かがおおいかぶさってきた。
「なまえちゃーん。なーにしてるんですかぁ?」
「「げっ、那月!?」」
「あれ、なんですか、その紙は……」
「だめー!!!」
ひょいと持ち上げられたそれを、まじまじと見つめる彼。身長の関係で私はそれを取り返せない。ぴょんぴょんと飛んでみるも、那月が上に持ち上げるからかすりもしないさ。
「おとやー!助けてー!」
「うーん、無理かな?」
「薄情ものっ!!あとでネタにしてやる!」
「ふふん、気にしないもんねー!じゃあ俺帰るわ!」
「ぎゃあああああ!!!!」
そうして裏切り者は去っていった。コ〇ス。(伏字が伏字になってないヨ!by音也)
「にょたいか?これって……僕ですか?」
「ああいや…いや、うん、そうなんだけどね…えっと……」
「ばくにゅー?」
「うわあああん!ごめんなさぁあああああい!」
今すぐ逃げ去りたいけど、そんなことしたらこの絵が晒し者になってしまう!それだけは阻止せねば!
「おーい那月ィ、音也みてな…あれ、何してんだ二人共」
「翔まできたあああああ!!!絶望的っ!!」
「あー、翔ちゃんこれ見てください〜」
「なになに…へっ!?なんだこれ!?」
「うわあああああああああごめえええええええええええん!!」
その後、私は翔にお説教されましたとさ。ああ哀れ。ごめんねもうつるぺたなんて言わないよ…。
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