「ねぇ」

「なに」


返ってくるのは素っ気ないことば。だけど私はそれが嬉しかった。


「藍さん。私今、幸せ者だね」

「なんで?どうして君はこれを幸せと言うの」


藍さんが顔をしかめるのが分かった。不意に抱きしめられる。私はベッドの上で身じろぎをした。


「ごめん。全部ボクのせいだ、ボクがあの時、引き止めていなければ」

「君は、悪くはないよ。ただ…ごめんね、私は君をもぅ、抱きしめられない」


動かない腕を憎らしく思った。こんなにも大切な人が泣いているのに。かわりに、安心させるように笑った


「大丈夫。私は藍さんがいるだけで、幸せですから。それに、生きているだけでもめっけものです。あの事故でなくなった方もいるのに、私は生きている。こうして、藍さんに抱きしめてもらえる」

「でも、」

「泣かないで。藍さんは天下のアイドルでしょ?私に笑顔を見せてください」

藍さんの額に軽く自分の額を押し付けて、笑った。これで好きが伝わればいいのに。

もう、君を抱きしめられないけど、君の道をサポートするくらいなら、まだまだ出来ると信じてます。

だから私を必要としてください。






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