愛してる、のあとにいつも言われる言葉が


「キスしてもいいですか……」


なんでそんな色気ムンムンの恍惚そうな顔でおっしゃるのですか私どんな顔すればいいんですか。

私の目前にいらっしゃるとある国の王子、セシル様は頬をそっと優しく包み込むと、ゆっくりかなりゆっくり顔を近づけてくる。吸い込まれそうな綺麗な瞳を閉じていき、私が寄り目になる頃にはすっかりフェロモン大量放出しているセシルの完成でございます。あ、キスされた。


ちゅ、とバードキスを繰り返し、次に後頭部に手を添える。ぐい、と引かれたかと思うと深いキスに変わった。その瞬間、ぐいとセシルから離れる。キスという行為にまだ慣れてすらいないのに、どうしてこんなに心臓にわるいことをしなければならないのか。



「ナゼ、ワタシを拒むのですか」

「拒んでるわけじゃないよ。だがね、君にひとつ聞きたい、どうして君はそんなにキス魔なのだ!」

「キス…魔?」

「そう。ところかまわず抱きついてちゅーしてきて!こっちは君みたいにそういう行為に慣れていないんだよ!」


毎回してる会話なのだが、暖簾に腕押し状態。絶対セシルはわかってないだろう。どうやったらコイツ反省するかしらん。
いつもは、その忠告だけで渋々ながら身を引くセシルなのだが、今日はどうやら違っていた。むぅ!とやけに食いついてくる。


「ワタシはなまえ、アナタに気持ちを伝えたいだけなのです。愛してます。なまえ、アナタが大切なのです」

「だからっていってキス魔がオッケーなわけないでしょうが。まったく」

「ですが、これが気持ちを伝える一番の方法だと、」

「だと?」

「音也が」

「あのがきゃ絞め殺す。あのね、セシル」


どうせそんなこったろうと思ったよ。うそ、思ってなかった。私はセシルの胸ぐらを掴むとぐいと引き寄せた。そして、おそらく初めてであろう、私からのくちづけを送る。

口元を押さえてポカンとしてるセシルに向かってドヤ顔をすると、言ってやったのさ。


「たくさんの口付けよりも、私はこれに気持ちを込めるよ」





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ですてにーそんぐ、はじめのほうのさぁ……
終わりない口づけを波の数しようとか、酸欠もいいところゲフン
そういうことで書きたくなった。






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テーマ「人外ファンタジー」
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