「ねぇ、レン」
「なんだい、ハニー」
「もし、私が死んだら灰をあの木の下に埋めてね」
そう言って、彼女は笑った。
いつも死と隣り合わせの状態で生活している俺ら薔薇の騎士団。その中で数少ない女性騎士であるなまえは、外ではいつも気を張って周りを警戒している。ふとした拍子にモンスターの出てくるような国境付近の警備である俺となまえ、そのた数名。
何度も仲間の死を見てきた。それを見るたび、明日は我が身か、と恐ろしくなる。
好きで、こんなことしてるわけじゃない。印を生まれ持ってしまったが故に、破魔の剣を持たされ、あちこちに配備される人間。右手を見れば、薔薇の文様が見えた。この国では、しばしば右手に薔薇の印を持ち生まれてくるものがいる。その人間は、破魔の剣を使うことによって、人ではない怪物を殺すことができるのだ。
この国は怪物に悩まされてる。そのため、印があれば男だろうが女だろうが剣を持たされあちこちに連れて行かれる。本人の意思なんてない。薔薇の騎士団なんてかっこいいこと言ってるけど、結局はただの寄せ集めだ。
そんな所に連れてこられて、もちろん俺は荒れたさ。だけど、そんなときに彼女…なまえに会ったんだ。彼女は強かった。わずか五つでこんな場所に連れてこられて、ただ一年、剣の修行をしただけで、比較的安全だけど、それなりの危険地帯にトバされた。
まさか、彼女が一年の任期を終えて帰ってくるなんて。人格の崩壊も見られないし、狂ってるようでもない。ただ、小さく笑って、これが役目だから。といった。
俺は、あの笑顔を見て変わった。なまえを守りたかった。守るんだ、絶対に。そうやって剣の腕を磨くうちに、いつしか俺は部隊のトップまでのぼりつめた。彼女は、別部隊のトップ。よく二人して行動するうちに俺は彼女に恋をした。
ああ、そーいや告白したっけ。そしたら彼女、なんて言ったと思う?
「いずれ散りゆく私の命。こんな粗末なものでよければ差し上げましょう」
要約→OK
そりゃ喜んだよ?喜んだけど……さぁ。なんか、なまえは恋というものを知らなかった。まぁ、こんな場所で恋とか愛とかいうのが間違ってんだけど。それでも、辛い思いをしてきた彼女には、人並みの幸せを一つでもあげたかった。だから、俺は言ったさ。
「君に愛を教えてあげる。人を愛するのは、どういうことかって」
ああ、好きだよ。なまえ。大好きだ。
「だから……お願い。目を開けて」
冷たくなった彼女を抱きしめて、俺は嗚咽を漏らす。全部、全部俺が悪い。俺が彼女を殺したようなもんだ。俺を守ろうとして、彼女は………。
怒りに狂って剣を持った俺は、気が付けば敵味方関係なく周りを斬りたくっていた。こんなにアッサリと人って死ぬんだな。う、わ。鉄臭い。
そっと、なまえの唇に自分のそれを押し当てた。柔らかい。
初めてのキスは、血の味でした。
↓ちょっと救われエンド。
「……ていうシナリオどうかな?」
「なっが!長いよ馬鹿!それになにこれ、痛い!のー!まさか貴方、私の黒歴史☆ノート読んだわね!?」
「へぇ、そんなものがあるのかい?」
「馬鹿ね、貴方嘘つくと右の眉がヒクヒク動くのよ」
「なっ!」
「うっそー。……でもその慌てよう……。読んだの、ね?」
「……全てはここから始まった。薔薇の騎士団<ナイト・オブ・ザ・ローズ>。それは――ぐっ!」
「くらえ、なまえアッパー!」
「ちょ、アイドル俺アイドル顔命」
「知るかハゲぇええええ!」
「ハゲてないよ!ハニー最近口悪いからね!」
「愛してるっ!」
「やっつけかんあふれるよ!」
以下割愛。夫婦喧嘩はよそでやれ。
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