「また、ですか……」


なまえは悔しげに唇を噛み締める。目の前に倒れふした人間を見、目を閉じた。


また、失敗した。もう無理だ。正解なんてきっとない。こんなおかしな輪に一歩踏み込んだ時点で、彼を助けることなんてできないんだ。今回はどうやって死んだ?ああそうだね、たしかコンビニでご飯買ってたらそこに大型トラックが突っ込んできたんだね。


【ざぁんねん。あと三日だったのになァ】

「煩い、」

【だから無理だっつってんだロ?もう諦めちまいなよ。楽になれるってェ】

「煩い煩い煩い煩い!」

【また、めぐるのか?一ヶ月をやり直すのか?…お前の身体、もうボロボロじゃン?】

「黙れっ!!!黙れよっ、私は…、私、は」

【……今回死んだのはコイツか。…お前の方はもう何十回も、何百回も死んでるのにナァ。こいつ、ずるい。いっつもお前に守られて、男のくせに】

「…わた、しが知ってるから。くそ、どうして、どうして助けられないの」

【ったく、俺とあんなけーやくするから。言っとくけど、俺は後悔してねーからな。ドージョーしてやる気もサラサラねぇし?】

「それでいいよ。どーせあんたらにしてみれば私らの人生なんて一瞬なもんだし。後悔しなくていい、同情もいらない。だからアンタは私の願い通り、まだ彼のいる世界あるでしょ、連れてって」

【さぁて、あといくつあるかねぇ。コイツと、オマエの存在してる世界】

「……ふん」


身も心もボロボロだった。それでも巻き戻し(リプレイ)の能力を手に入れてしまったなまえは、たった一つの大切な人を諦められず、何度も何度も繰り返す。もう一人の"モノ"を心に住まわせ、自分を失いそうになっても、ひたすら愛した人を助けようと。

断ち切れない輪を引きちぎるように。摂理を無視して。自分を犠牲にして。


薄れていく記憶の中で、不思議と愛した人の記憶だけは消えなかった。




「ちちうえ、このかたはだれですか?」

「うむ。お前専属の使用人だ。なまえという」

「初めまして、真斗さま。私は今日からあなた様にお仕えします、なまえと申します。よろしくお願いしますね」

「はい、よろしくお願いします」

「では、あとは任せたぞ」

「はい、旦那様……。お任せくださいませ」


今度こそ、守るから。



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久しぶりにアムネシアやったら書きたくなった。
ウキョウさんを心から愛してる。
=ウキョウさん的ノリで書いた。






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