俺の大切なレディは、俺のことをたまに「いのこ」と呼ぶ。

理由は知らないし、別に知りたいとも思ったことはないのだが、時折思い出したように俺のことをそう呼ぶため、どうしてなんだと一度尋ねてみたことがあった。

そしたらレディは、なんて答えたと思うかい?


俺には眩しすぎてもったいないというくらいに美しい笑顔で、こう言ったんだ。


「神の意思によって生まれた私の愛しい人」



まったく、レディにはかなわないよ。どうして君は俺の心をそんな風にしていつもかっさらっていくんだい?たまには俺にも攫わせてくれたっていいと思うのにさ。


「……えへへ」


だけど、なぜか俺の膝の上で眠るなまえを見てると、ああたまにはこういうのも悪くないなと思ってしまうんだよなぁ………。


「愛してるよ、なまえ。俺のいのこ」


前かがみになって額に軽く口付けると、俺は先程までしていた読書の続きをすることにした。









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