※地平線パロ?(黄昏)


「やぁ、こんにちは。一体どうしたんだい?君が先程からその道を往復すること1024歩。何か悩み事でもあるような顔だね。愚かな提案があるのが、どうだろう、私でよければ君の話し相手になりたい」


青年がその日出会った男とも女ともつかぬような人間は、ニヤリと口角を上げて首をかしげた。どこからどう見ても怪しいのに、なぜか全てを話してもいいように思えた。


「なるほど。自分が何をしたいかわからないと。私にはイマイチわからないがね、人が立場に執着する意味が。君は地位が嫌いだ。いいや、財閥とやらの三男という肩書きがきらいなのかね。わかるとも、その気持ちは。おっと、矛盾していると?確かにそうだね、私の言葉は矛盾だらけさ。しかし、そうだね。自分の手で全てを掴んでみたいと思うのならば一つ、舞台を整えてあげようではないか」


青年は、その人間の話を黙って聞いていた。終わった頃にふと顔を上げると、本当にそんなことができるかと尋ねる。その人間は実に楽しそうに頷いた。


「ああ、もちろんさ。さて、私は君に全てを話した。あとは君の判断に任せるとしよう。今はさよならだ。君の判断が素晴らしいものであることを祈るよ」

「待ってくれ!……貴方は一体…」

「そのうちわかるさ。さぁ、これから君の運が試される。実力が試される。気持ちが試される。自分で道を切り開くといい。それでは、頑張りたまえ」


一瞬のうちに消えたその人間を見て驚いた青年は、あまりにも不可解なこの出来事を夢ということにすべく、家に帰ってふてくされたようにベッドに倒れ込むのであった。しかし、翌日になると、早乙女学園というところの受験票を持って青年の兄が部屋にやってくる。

ああ、こういうことなのか。昨日の夢はこれをさしていたんだな。と青年はぼんやりと思い、珍しくこれといった反抗をすることなく受け取った。頑張れ、なんて乾いた言葉を残し、青年の兄は去っていく。おそらく、仕事があるのだろう。


それからしばらくの月日が経ち――――。

青年は、結論から言うと受かった。そして、最も上のクラス、Sクラスに在籍している。女子の黄色い悲鳴に優雅に手を振って、長い脚をゆったりと組んでいると、教室の扉が開いた。そこから、二人の人間が入ってくる。どうやら、担任と副担任との話だった。

へぇ、と特に興味もなく――どちらかというと、最初の男にはしゃぐ一人の帽子の少年を見るほうが楽しかった――ちらりと二人に視線をくれたところで…青年は固まった。


「日向龍也だ。これから一年間お前らを指導していく。ビシバシ鍛えるからそのつもりでいろよ。こっちは副担任で、SとAにだけ特別補習をしてくれる人だ」

「サリュー、アンシャンテ。皆さんよろしく」


異国の言葉を使い、ニヤリと怪しげな笑みで自己紹介をする人間は、青年を見ていっそう笑みを深めた。

おめでとう、という言葉が聞こえてくるかのようで……。青年は静かに目を瞑る。自分はここで、何を学べるのか。何を学ぶのか。一年後、どのような未来が待っているのか。それを全て目の前の人間は知ってるかのようだった。

ふと教室を見回すと、自分の他に二人の人間が、苦しそうな。嬉しそうな。そして一種の畏怖すら見せる瞳でその人間を見ていた。



――――――――――――
賢者難しい…。偽賢者注意!(笑)
Sクラメンツは皆なにか抱えてて、賢者が暇つぶしに道を示してあげたというね。ストーリーがね。あるんですよ。地平線、わかる人にはわかります。
個人的にはメルヒェンとミラが好きですメルさんはすはす。
すでに夢じゃないという(笑)









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