「you can fly 大丈夫お前ならできる、さぁその窓から」


※トキヤが変態。

「おれさぁ……」

「ん?」

「今なら飛べる気がした」

「アホか」

「アホっていうないたって真面目に言った私は」

一人称を私に戻し、人をアホ扱いした翔の首を締める。ギブギブ、と腕を叩いてくるが、離してやるもんかそのまま落ちろ。

「落ちろ、カトンボ!!!」

ジ・オに乗ってるパプ○マスさんの名台詞から少し拝借し、叫んでみる。おおなかなか気持ちが良い。

「ちょっと、レディ。翔の顔色が危ないことになってるからね。離してあげてね」

「じんぐーじが言うなら」

ぱっ、と手を離すと崩れ落ちた翔。レンのヤツに支えられて二度ほど頬を叩かれると正気に戻る。慌てて距離を取られた。

あまりにも失礼だろ!

「何をしているのですか」

「あ、トキヤ。私がピーしようとしたら翔くんに逃げられちゃったんだ」

「ピー音を詳しく」

「あらやだえっちぃ」

「殴りますよ」

すっ、と持っていた分厚い本を持ち上げてきたので私はレンの後ろに隠れる。むりむり、あんなんで頭叩かれたらただでさえ少ない私の脳細胞が消え去ってしまうではないか。なんなの私を馬鹿にしたいの。アホの次は馬鹿ですか、えぇそうですか。

「とにかくこれをしたの。よいせっと」

トキヤの後ろに回り込んで首をガッチリ固定する。密着して首をぐいぐい締め付けているとトキヤが、「あの」と口を挟んだ。

「何かね」

「いくら背中に神経を集中させても、胸の感覚が…」

「私刑+死刑に処すぅうううううう!」

「は。なぜ私がそんなものに……」

「今更クールキャラぶっても遅いわよ!冒頭でトキヤが変態ですって注意書きされてるから読者はむしろその展開を望んでいるのぉおおお!」

意味がわからないともがくトキヤを窓際まで連れていき、見えないだろうがにっこりと微笑む。

「な、なにを……」

「you can fly! 大丈夫お前ならできる、さぁその窓から!」

「ちょっと待ってください落ち着きましょう時雨」

「おい、レン……。あれそろそろ止めるべきなのか?」

「放っておいていいんじゃない?なんだかんだ言って仲良いんだし」

「そうか…?本当に落としそうだが」

「ま、イッチーがこれ以上レディを刺激しなければ大丈夫じゃ…、」

「許すまじトキヤぁあああああああああああああ!」

「……助けようか」

「だな」

その後、私はレンに後ろから羽交い締めにされ、トキヤを翔に奪われてしまった。惜しい、あと少しでヤツに制裁を加えることができたのに。

ちっ、と椅子に座るとまた空を見上げてポツリと一言。

「私、今なら空飛べるかも」

「あれ、デジャヴ」

――――――――――――
え、ええと。
ごめん、ごめんねトキヤさん。
クールトキヤよりも若干へんたゲフンな子が好きなんです。
12.03.24


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