人魚姫・下




やはり死にたくはないものです。時雨は必死に探しました。何をかって?ゲーム機に決まってるじゃないですか。トキメキ☆カスタムレンちゃんをなくしたまま死ねるわけがありません。どこぞのあれではないですが、時雨はレンきゅんのためなら死ねるのです。

何度も何度も、いろんな人に絵を見せて知らないかたずねました。しかし、一週間経っても誰も知らないそうなのです。時雨は焦り始めました。なんと、二日後に結婚式が開かれるというのです!困りました。どうしても探さないといけません。そうしないと、レンちゃんを手に抱けぬまま死んでしまうのです。

ダメ元で、すれ違った兵士に尋ねました。

「こんな感じのゲーム機知りませんか」

そう、スケッチブックを見せて尋ねます。もちろん、喋れませんので、身振り手振りで頑張ります。

「…ああ、それだったら王子の部屋…っ!あ、いや、なんでも………」

「!?」

(王子の部屋…!どうりで見つからないはず……!!)

「ああっ、お待ちください!!部外者にお教えしたと知られれば私めがっ!!!」

兵士の言葉で私は踵を返し、彼の部屋に向かった。中に誰もいないことを確認すると、中に飛び込みます。さて、いつかえってくるかわからないもので、慌ててあちこちを探しました。

すると、あったのです!鍵のかかった引き出しを開ければ(もちろん特殊な技術で…)そこにポツンと置いてありました。これでこの場所、いえ、陸には用はありません。二度と陸に上がってくるものかと捨て台詞を吐きながら海に飛び込んで消える……そういうシナリオを想像してニヤけていた時雨は、そのため後ろからやってくる人間に気づきませんでした。

突然、がしっ、と後ろから抱きしめられます。びくりと肩を震わせた時雨は、誰か確認しようとしますが、ギリギリと締め付けるその腕に身動きが取れません。

(だ、誰…!?)

せめて喋って欲しい。そう思っていると、やっとその主が口を開きました。

「見つけた。……やっぱり、貴方だったのですね。さっちゃんが言ってました」

「!?」

なんと、部屋の主である王子です。那月です。時雨は口から心臓が飛び出そうなほど驚きました。

「お願いします…僕と結婚してください」

「……ぅ……」

喋れました。時雨は突然もどった声に首をかしげながらも、声を返しました。

「すみません、私は家に帰らないと……。今までお世話になりました」

「っ!声が戻ったのですね!?」

「はい、おかげさまで……」

「ああ、やはり声も美しい……」

さらに抱きしめる力が強くなります。時雨は苦しくなってきたので、どうにかして抜け出しました。

「えっと…どうして私だと?いや、一応助けましたがね…」

「さっちゃんが、そのゲーム機を持っている女こそお前を助けた女だと教えてくれたのです。もう人魚でも構いません……僕は、貴方が大好きなんです」

「すみません、私は……その、好きですけど友情面での好きなんですよ」

「好きになってくれればいいです。そうと決まれば結婚ですよー!」

「ぎゃあああああ!!!!」

あっさりと横抱きにされ、ものすごい速さでどこかに連れて行かれてしまいました。そうして、いつの間にか結婚という流れに持って行かれたのです。

はい、めでたしめでたし………。


――――
強制終了。下に続編(ただイチャイチャしてるだけ)




「時雨ちゃーん」

「なーんでーすかー」

「僕のこと好き?」

「もっちろん!(ご飯くれるし)大好きでっす!」

「本当!?嬉しいなぁー、じゃあちゅーしましょうか」

「え゛っ」

「もう、照れ屋さんですねぇー。僕たち夫婦じゃないですかぁ」

「や、でもやっぱり越えてはいけない一線というか、そんなものがあって…」

「時雨ちゃんは僕のお嫁さんなんですよー。子孫を期待される身なんです。いいですか、僕は第一王子なので、いずれ王子から王になります。その時に…子供を作らないというだけで叩かれる貴方を見たくない……」

「な、那月さん……」

「だから、今のうちからちゅーに慣れておきましょうねー!」

「ひっ、ぎゃあああああああ!?」



――自主規制――



「っはぁ、はぁ、はぁ……な、がい、です……」

「だって、時雨ちゃんの唇、とーっても甘いんですから!」

「甘いか?普通に肌の味だと…」

「いいえ、甘いですよぉ。ほら、唇の端から垂れる銀色のコレも……ふふっ、可愛い」

「のっ!?な、なんで舐めと……んっ!」

「んー(はぁと」




爆発しろぉおおおおお!!!!!









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