百姓と悪魔 百姓→翔ちゃん 悪魔→時雨 それでは、お百姓と悪魔の世界へGO! *** 昔、先見の明があり、抜け目のないお百姓がおりました。その百姓は、名をショウといい、彼のいたずらはたくさんの人に話されるものとなっておりますが、一番の出来のものは悪魔との話です。 ショウはある日、畑で働いていました。夕闇が広がりだしたので、家へかえる支度をしていると、畑の真ん中に燃えている炭の山があるではないか。びっくりして、それに近づいていくと、ひとりの少女が燃える炭の上に座っておりました。 あまりにもびっくりしたもんで、ショウはその少女に、 「おまえ、何してんだよ。危ないだろ?」 と声をかけます。少女は顔をあげてショウを認めると、にぃ、と口角をあげました。 「そこな百姓、君はこれをなんだと思うかい?」 そう言って、とんとんと炭を足で叩きます。ショウは、首をかしげました。どう見ても炭にしか見えません。彼が素直にそう答えると、そうだろうねー。と少女は言いました。 「これは宝の山さ。お前が生まれてこのかた見たこともないほどたくさんの金銀のある宝物なんだよ」 ショウは途端にそれが欲しくてたまらなくなります。 「なぁ、それって俺の畑にあるんだから、俺のもんになるんじゃねーの?」 ショウは言いました。すると少女は、ふぅむ。と顎を指でさすります。 「それはそうだね。なかなか面白いことを言う。よいだろう、この宝は君のものにしていいよ」 ただし。と少女は言います。 「もし君が二年間、君の畑でできるものの何でも半分私にくれるならばね。私は悪魔だから、金はいくらでもあるのだよ。でも、土の実りが欲しいのさ」 ショウは、目の前の少女が悪魔だということに驚きましたが、その取引を承知しました。 「でもよ、分け前に喧嘩が起きないように、地面の上にあるのは全部お前のもんで、土の下のは俺のものにしねえか?」 「ふーん、いいよ別に」 少女はこの取り決めに満足して、炭の山ごと消えて行きました。 さて、そこでずる賢いショウはかぶを育てることにしたのです。収穫の時期になると、少女が現れました。 「やっほー、収穫を貰いに来たよ」 「おお、この間の悪魔じゃねーか。じゃあ収穫していくなー」 そう言ってショウはかぶを掘り起こしました。もちろん、土の中にあるものはショウのものですので、少女の手元には黄色くしなびた葉っぱしか残りません。 「むぅー。…悪魔を騙しましたね!」 「お前はあの取引でいいって言ったろ?」 「それもそうですけど……」 がっくし、と肩を落とした少女は、じゃあ。と睨みをきかせます。 「土の下に育つものは私のもの。土の上に育つものは君のもの。今度はこうしよう」 「いいとも」 ショウは答えました。これで土の実りがいただける。と少女はルンルン気分で帰っていきます。ショウはにやりと笑いました。 「次は……小麦か」 なんと意地悪な百姓でしょうか。しかし少女は偶然、それを聞いてしまいました。ほぅ……、と少女も笑います。 「あー疲れた。ったく、悪魔なんて大したこと……うおわっ!?」 ショウが畑から帰ってくると、テーブルの上には立派な食事が乗っています。ショウは一人暮らしなので、これはおかしいと思いました。 「おお、帰ってきたね」 ふと、声が聞こえました。ショウがあちこちを見回してみると、台所の方からひとりの少女がやってきたではありませんか。あれは、あの時の悪魔でした。 「お、おまっ、悪魔…!」 「そうでーす。ふふん、あまりに君が意地悪ばっかりするので、その腕に惚れ込んで悪魔勧誘にまいりまーしたー!」 「はぁ!?」 「さぁさぁ、悪魔になってみない?楽しいよ〜?君みたいなやつだったらすぐに立派な悪魔になれるさ!レッツエンジョイ☆悪魔ライフ!」 さあさあさあさあ、とにじり寄ってくる少女に、ショウはタジタジです。こんな場面にはまぁ、出くわしたことがないので、とっさの機転もきかせられません。 「ふふっ、私は時雨。今までのいたずらの数々、調べさせていただきましたよ。ショウ。君は立派な悪魔になれる!だからほら、私の仲間になりましょう?」 「いっ、嫌だあああああああああああああ!」 「ほらほらほらほら!」 それから時雨は、悪魔にはならないと言い切るショウの家に移り住み、ショウがどこへ逃げようともどこへ行こうとも見守り、生涯ショウから離れることはなかったとさ。 (ふ、ふ、ふ。君の魂げーっと!これで悪魔に…) (いっ、いやだー!) ―――――――――――― なんだこれ(´・ω・`) 本家は、まんまと二回騙された悪魔(男)は消え去り、百姓はお宝ゲットだぜ!となります。百姓だからショ(殴 13.04.07 back |