きょうじゅろう君10歳




「おはよう!すまない、少しいいか?」
「どうしたの…って、あれ?」

杏寿郎が血鬼術を受けて3日目。
千寿朗の体に変化があった。


先日、仕立て直した着物がつんつるてんになったようで足と腕がかなりあらわになっていた。
着物を仕立て直し朝餉を食べて蝶屋敷に向かう。

「身長も、先日測ったときより伸びているようですね」
興味深げに杏寿郎を一瞥し、しのぶはひとつの可能性を告げる。


「煉獄さんの体はすぐに元に戻る、ということはないでしょうね。おそらく日をかけて少しずつもとに戻るもののようです」
身長は名前の胸より少し下程であり、年はおとらく10歳ぐらいだろうと推測された。
これ以上の処置はできないので、とりあえず受けられる検査だけ受けて岐路につく二人。


その途中、神社の方から楽し気な祭囃子の音に名前は足を止める。
「そっか、今日はお祭りなんだ」


イカ焼き、トウモロコシ、林檎飴、祭りは何かと魅力的なものが多く、鬼殺隊が休みの日に祭りが被れば必ず出かけていた。

「寄っていこう!」
「でも、体は大丈夫なの?」

嬉しい提案だが、血鬼術の影響はないのかと心配になる。
心配そうな名前を他所に杏寿郎はワクワクと目を輝かせている。

「無論!千寿朗と父上にも何か買っていこう!」

そういえば、千寿朗も祭りは好きだったんだっけ。
人ごみのなか、出店で買ったお団子を頬張りながら千寿朗たちへのお土産を選んでいると杏寿郎があるものを見つけ名前を呼んだ。

みれば桜や椿、向日葵、桔梗など、花を模した可愛らしい髪飾りが並んでいた。

「綺麗…」
細かく施された装飾に思わず漏れた言葉に杏寿郎はどれがいい?と尋ねてくる。

「いや、そんな!自分で買えるから」
「遠慮しないでほしい!俺は…」
「おや、ずいぶんと若いお母さんだね?ん〜、いやお姉ちゃんかい?」



出店の亭主であろうか、初老の老婆が上品な笑顔を浮かべながら二人を交互に見る。

「これを」
「はいよ」

名前が財布からお金をとるよりも先に会計をすませた杏寿郎はやや足早に名前の手を取りその店から離れる。


「ちょ、杏寿郎、まって!あっ!?」
人ごみの中で手を引かれ、バランスが崩れ前へと上体が倒れかける。
それに気づき杏寿郎は支えようとしたが、身長差で支えきれず、一緒に前のめりになってしまう。



―――――グイッ!!
体が強い力で戻される。

驚いてその腕の主を確認すると音柱 宇髄天元だった。

(20220120)



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