┌(┌^o^)┐ | ナノ


  


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ボクはノボリが嫌い

どれくらい?って聞かれたらそれはもう殺したいくらい大嫌い
同じ空間で同じ酸素を吸いたくないくらい

でもノボリとボクバトル好き…だから仕事一緒
バトルフロンティアにでも行こうかなんて考えたけど無理
ボク地下鉄好きだから
地下鉄でバトルができるなんて最高の至福だよね
ノボリがバトルフロンティア行けばいいのに
まぁノボリも地下鉄好きだから行かないだろうけど
「チッ」
なんとなく舌打ちしてみた
勿論誰も居ない事務室に虚しく響くだけだった

なんだかなぁ

乱暴に頭を掻きながら白い天井を見上げる
声を出すのも怠くなってしまった
職務怠慢どころじゃないな なんてどうでもいいこと考えてたら事務室に誰か入ってきた
「おやクダリ、書類は終わったのですか?」
その声は腸が煮えくり返るような感覚をおこす
「…ノボリ、終わって ない」
マトモに返事するのがやっと
少しでも気を抜いたら片割れを殺してしまう
逆に殺されるかもしれないけど
捕まりたくはないなぁ

ノボリはボクの事が好きなんだってさ
気持ち悪い
男同士とかありえない
ボクゲイじゃないし普通にノーマルだよ
告白されたときは殺したい衝動に駆られたよ、いや、今もだけど
ついでにノボリ馬鹿だからボクが思いっきり嫌ってるの気づいてない
「またですか、ワタクシがやっておきます。あとダブルトレインに挑戦者だそうです」
「…わかった」
またですか、にまた苛立つ
うっさいな 誰のせいで仕事できないと思ってんのさ
確かにノボリには直接的な関わりというか、ないだろうけどさ
あ、なんかまた腹たってきた

ボクは事務室を出た
扉を思い切り閉めてノボリに「ものは大切にしなさい」って言われた
ボクそのうちストレスで死ぬんじゃない?
「…痛い」
唇噛んでたみたい、破れて血出てきちゃった
全部ノボリの所為だ
あぁそうだ


ノボリを殺せばいいんだ




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「なんで気づかなかったんだろう」
ノボリが嫌いならノボリを殺せばいいんだ
ノボリにバレない方法で


たぶん ボクがニヤニヤしてたの 誰も気付かなかったと思う
-----

君を殺すためなら

「ノボリ」

「なんですか?」

「一緒に帰ろ?」

演技だってしてあげる

「え、いいのですか?!」
「うん、ずっと一人で帰ってたし偶にはノボリと一緒に帰るのもいいかなぁなんて
 ダメだったかな?」
わざとらしく落ち込んだ様に言う
「いえ、ダメではありません帰りましょう!」
嬉しそうに笑うノボリ
「手つなご?」
「は、はい」
ノボリの手を握る
握りつぶさないようにするの大変
我慢してるボクってすっごい偉くない?

ないか、やろうとしてるのは犯罪だし
「クダリ?行きましょう」
「…うん」
ノボリったらすっごい嬉しそう
バカみたい 自分を殺そうとしてる相手にヘラヘラするとか
知らないからかもね


「ねぇノボリ 今日ボクがご飯作っていい?」
「えぇ、いいですよ」
「やったー!何作ろうかなー」
粉だから基本何に混ぜても大丈夫なんだよね
問題は味…
どんな味か知らないからなるべく味が濃い料理に入れたほうがごまかせるよね
一気に大量摂取させちゃダメなんだよねぇ…
別にどうでもいいけど不自然な死に方だとボクに疑いがかかるしノボリは麻薬中毒者として人生を終わってもらうからね



「ノボリー、ご飯できたよ!」
「カレーですか…美味しそうですね」
あぁ、もういちいち笑わないでよ気持ち悪いな
ノボリのカレーにはちゃんと薬は混ぜた
味見してないけど、てかしたらボクが危ないんだけど
味大丈夫かな、バレたりしないよね?
バレたらどうしよ…
「食べないのですか?」
「えっ、あ、食べるよ。うまくできたかなって思って」
「あぁ、」
ノボリはカレーをスプーンですくって口に入れる
ボクきっと人生で一番焦ってる
「ど、どう?」
「とっても美味しいですよ」
そう言ってニッコリ笑うノボリ
よかったバレてない
毎日コレを続けるのは限界がある
ノボリだってそこまで馬鹿じゃないと思う
だからボクの態度が変わったことに大してなにか疑問があるハズ
…偶にボクが作ればいいんだ、そう
ノボリが作った時はどうにかして薬を混ぜればいい
料理じゃなくてもいい
飲み物でもいいんだしね

--

あれから何ヶ月かたった
どうやらボクはちょっとオカシくなったらしい
ついでにノボリもおかしくなったよ
アハハざまぁみろ
なんて言ってらんないんだよね ボクもちょっとヤバイからさ
「くだり」
あぁ、また来たよ
「なあに」
「くだり、くだりくだりくだり くだ り く だり」
虚ろな目でボクを見つめながら名前を何度も繰り返す片割れ
「む しが たくさん、から、だにむらがって、たす けて」
虫なんていないのに、片割れはやせ細った腕でひたすら身体中に張り付いてる何かをはがすような動作を繰り返す
「ノボリ、大丈夫だよ。何もついてないよ」
ボクはそのまま震える片割れを抱きしめる
昔だったら絶対に蹴飛ばしていたハズなのに

「や、いやぁ くだり たす けてきもちわるいんです からだじゅうが くさって」
泣きだしながらボクにしがみつく
そんな片割れを愛しく思う自分がいたんだ
あんなにうざかったのに 憎らしかったのに
大嫌いだったのに

君の歪んだ顔が綺麗だったんだ
おかしい?でも思ったんだから仕方ないよね
「うぁ くだ り  た…けて…」
「ノボリ、ノボリ大丈夫だよ ほら、ボクここにいるよ」
あぁ可愛いな
壊れてく君がすごく愛おしい
「大好き ノボリ」
「くだり くだり くだり くだ、り」
もう届かないだろうけど
いいや こっちのほうがボク好みだもの


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ふたごはね
なにをするのもいっしょなんだって
ふたりはつながってるんだって

だからぼくもきみをすきになったのかな
きっとそうだよね

のぼり

これからはずっといっしょなんだよ
ぼくたちはふたごだから





















こわれるのも

   いっしょだよ





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