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町にある廃墟と化した資材置き場などに使われていた古臭い建物に人がいた。四、五人の男達とその正面に向かって立つ青年。男達は全員鉄パイプや金属バットなどを肩に置き片足に体重をかけて醜い顔を更に醜くさせる、恐らく青年を怖がらせるために威圧をかけているのだろうが青年は常に口角を上に釣り上げ何を考えているかわからない灰色の瞳で男達を捉える

「何か用?」

青年が口を開く。首をカクンと横に倒す。女子やお姉さまやらから見ればその行為は愛らしく思うのだろうが目の前の男達には馬鹿にしているように見えたらしい、青筋を立てて大きく舌打ちをした

「テメェあの時の事忘れたわけじゃあねぇだろうな」

ガァンと持っている鉄パイプを床に叩きつける。その音に青年は眉を一瞬ヒクつかせる、勿論恐れたわけではない。その音に不快感を感じたからだ。

「何かしたっけ?君達とボク、初対面じゃないの?」

青年のその言葉に男達は更に眉間の皺を濃くさせた。今にも血管が切れそうだ。

しかしそんなことには興味がないのか、もしくは気づいていないのか青年は記憶を模索する。やはり覚えは無いらしい。

リーダーらしき男がズカズカと前に出て青年の胸ぐらを掴む。身長は青年の方が高いため持ち上げることはできていなかった。青年はそれを滑稽に思ったのかクス、と笑い声を漏らす。

「覚えてねぇとは言わせねぇぞ、この頬の傷を見ろ!」

男が頬についたガーゼをはがすと青紫になった皮膚があった。それを見てやっと思い出したのか「あぁ。あの時の!」と声をあげる。

「やっと思い出したか…!あの時の借りを返しに来たんだよ。たっぷりとお礼させてもらうぜ」

後ろにいる取り巻きの男達が持ってるものを振る。

外で風が吹いて古く立て付けの悪い壁や窓がガタつく

「ボクお礼言われるようなことした?何かを借した覚えもないけど。あ、もしかして君ってマゾなの?」

言葉の綾など知ったものかというように挑発する。怯える姿すら見せない青年にもう容赦はしないというように拳を振り上げる。勿論胸ぐらを掴まれているために避けることは不可能でバキ、と音が鳴る青年の頬は赤くなった

「痛いなー」

それでも効いていないようで青年は笑いながらも目つきを鋭くさせ男の姿を捉える。まるで蛇に睨みつけられたかの様な威圧感を放つその目に男は身体を強ばらせた。青年は男の腕を掴み上へ押し上げる。男の間接が反対向きに曲がりそうになると男は慌てて青年を離し腕を後ろに引く

「テメェ!●●さんに何してんだ!」

取り巻きの男が叫ぶ。

「あのさぁ。ボクがなんで君のきったない顔を殴ったかわかる?というか考えた?」

「んなもん知るかよ!」

男Aがバットで殴りかかる、青年はそれを避けバットを持つ腕に足を上から落とす。衝撃が強く男Aの腕からはバットが落ちた。落ちたバットを思い切り蹴飛ばし走らなければ届かない距離へと飛ばす。

「あのね?ボクはね、君たちが道の真ん中を歩いてて後ろの人が邪魔そうだったから どかしてあげただけ。それに君は前にいたおじいちゃん蹴ったよね?わざと杖折って立ち上がりにくくさせたりさ。それってとっても悪いコトだよね?ボク悪いコトしてるからしつけてあげたんだよ」

クスクス笑って青年は男達に近づく。男達は青年に対して恐怖しか感じないのか悲鳴を漏らして後退る。

「それとももっかいしつけて欲しい?今度は骨の一本や二本折らないと気がすまないかな?ボク頑張るね」

そういってにっこりと普通の少年が見せそうな笑顔を見せる。しかしそれすらも恐怖に加算される。取り巻きは命の危機でも悟ったのか声を上げずに走って逃げていった。残ったリーダーの男に青年は取り巻きが残したバットを向ける

「じゃあ、いっくよー!」

青年はそれを振り上げる。男は「やめてくれ!」と叫ぶがやめる気もないようでバットを思い切り振り落とす

ガアアアアンと響く様に音高く打撃音は鳴る。男は気絶していた、青年は地面に突き刺さったバットを抜いて適当に投げた。

「バーカ、やるわけないでしょ。捕まるし」

青年はそう言って建物から出ていった


風がまた吹いて建物をカタカタと揺らした




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