勝てば官軍負ければ賊軍 | ナノ
「は?」
「だから君はこの世界の住人じゃないんだって」
「…じゃあな」
呆れて物も言えない俺は再びボールを探そうとする。男はまた慌てて 本当だってば!と言う。いくらなんでも馬鹿げてる。信じる信じない以前の問題だ。こいつは明らかにおかしい。
「君の本当の名前はユウキ・ローウェル!テルカ・リュミレースっていう世界にユーリ・ローウェルという人物の弟になるはずだったんだよ、本当だって行かないでってば!」
「信じてもらえると思ったか?病院に行けよ、その妄想癖きっと治るぜ」
立ち去ろうとすると後ろから、かくなる上は…という呟きが聞こえた
「君の妹と弟がどうなってもいいのかい?」
俺は歩くのをやめて後ろを向いた
「ボクにかかればあんな餓鬼共一瞬で消せるよ?」
「てめぇ…」
「話、聴いてくれるよね?」
どうやらこいつは意地でも聞いてもらいたいらしい。今日は災難だ、俺はそいつに向き直った

「はぁ…ボクはね、この世界を担当してる。君らで言う神様なんだ。でね、ちょっとしたミスで君はボクの担当してるこの世界に紛れ込んじゃったんだ。本来はボクじゃなくてボクの同僚の担当してるテルカ・リュミレースってところに生まれるはずだったんだ」
わけがわからない。俺が別の世界から神の間違いで別の世界に生まれた?あるはずないだろ
「証拠って言えるかわからないけどさ、君見た目とか男っぽいだろ?それに運動神経や力が普通の人より高いだろう?それもあっちの世界の人間になるはずだった影響なんだよ」
「…信じられねぇな」
「君は帰らなきゃいけない。向こうへ、元の位置に戻れないけど君の在るべき世界へ返さなければならない。お詫びとしてこの世界のものを三つ向こうへ持っていっていい。何がいい?」
行くなんて言っていない、話すら信じていないのに男は勝手にペラペラと喋る。そんな俺に気づいたのだろう、男は苦笑いして 信じてないね という、当たり前だ
「でも嫌でも信じることになるさ。君がこっちで最も大切にしている三つを教えてくれ、ただし生き物は無理だ」
「…じゃあ缶バッチと絵を描く物と俺が身につけてるもの」
信じたわけじゃない、悪ふざけに乗ってやろうと思ったわけでもない。ただ言っただけだった
「了解!ごめんね、向こうでも元気でねー」
男は手を振る。何故か目眩がした。視界が霞んで身体が崩れる。これじゃあアイツが言ってたことが本当のことみたいだ。俺はどうなるんだろう



意識が落ちた


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