勝てば官軍負ければ賊軍 | ナノ
 




俺に前回職を与えてくれた人は宿屋も経営してるらしくそのうちの一室を貸してくれるらしい。優しすぎやしないか。家賃なんて要らないとか言うし、それじゃ俺の良心が痛むんだけど。うんうん唸っていると男が諦めろと耳打ちをする。いつかお返ししようと心に決めた日だった。


「ユウキー!こっち注文頼む!」
「あーい!」
 仕事は接客。注文を聞いて品を運ぶ、ただそれだけ。後片付けもあるけどな、やっぱり楽な仕事ではない。注文の声があっちこっちと飛び交う中足と手を動かす。
「本当ユウキが来てくれて助かるよ。」
 女将さんがそう言う。何やら客が増えたんだと、特に女が。何故か溜息を付きたくなる情報だった。
「ユウキ。もう上がっていいよ。お疲れ様」
 女将さんに言われて裏へ戻る。服を脱いでこっちに来たときのジャージに着替えると後ろから誰かが話しかけてきた
「おい」
 それは昨日の男だった。
「買い物行くぞ」
 そう言って先に店から出る男、その背中を慌てて追いかけてどこに行くんだと問うと男は「だから買い物だって言ってんだろ」と言う。女将さんから頼まれたらしい。服を2、3着と街案内。お金は女将さんがもってくれるらしいがそれは申し訳無さ過ぎて死ぬ。日本人として生まれた性だ、遠慮は当たり前だろう。しかしその発言に男は意味が わからないというような顔で見つめてくる。…もうこの人たちには俺の言う常識は通じないのだろう、これもいつか返すしかないと思った。
「迷子になるなよ」
 周りをキョロキョロ見回す俺に男は言う。そういえばこの男の名前知らないな。
「なぁ」
「なんだ?」
「おにーさんの名前何?」
「…ユーリ・ローウェルだ」
 耳を疑う。この男がユーリ?俺の兄さんになるはずだった人…なのか。なんか予想と全然違う。もっとこう、なんか暑苦しそうなイメージがあった。松●修造みたいな。
「お前は?」
「んん…」
 どう答えればいいのか、苗字を先に言うのか?名前を先に言うのか?悩む俺に早く言えと言わんばかりにこちらを見つめる男、ユーリ
「清水悠希、だ。一応悠希が名前だ」
「ふーん…よろしくなユウ」
 ユウじゃなくて悠希なんだけど…。なんて言う暇もなくユーリはまた歩きだした。もう何を言う気にもならない。大人しく着いていった
「ここの階段を上ったら市民街だ。んでその向こうに見えるあのやたらゴーカな建物があんのが貴族街。あっちにはあんまり行かないほうがいい。」
 キュモールに見つかったら面倒だからな。と小さく呟く。きゅモールって誰だ。言いづらい名前だな。
「まずその変なカッコからどうにかしねぇとな。服買うぞ」
 変なカッコとは失礼な。俺からしたらこの国の人たちのほうが変なカッコしてるぞ。とか言いつつも素直に従う。郷に入っては郷に従うって言うしな
「好きに選べよ。」
 今度はユーリが俺の後ろをついてくる。好きに選べと言われても困るんだけどものっそい困るんだけど。大体俺は何度親に服のセンスがないと言われてきたことか…!
 取りあえず適当に服を見て回っているとユーリの服と同じデザインの服を見つけた。
「あ、ねーねーユーリ。見て見てこれ君のとおんなじだよ。」
 ユーリの目の前に出すとそれがどうしたみたいな目で見られた。それ以外の反応が見られないためしょぼんってしながら服を元に戻す。
「早く決めろよ。」
 飽きてきたのか片足に体重をかけて腕を組んでいかにも怠いですみたいな感じの目でこっちを見てくる。
「服選ぶの苦手なんだよねぇ、おにーさん選んでよー…」
 適当にぼやくとわかった。という声が聞こえてユーリが店内を歩き回る。呆然としているうちにまた俺の目の前に来て何着か服を渡される。ご丁寧に靴まで。しかもこの靴ユーリと色違いなんだけどどゆこと
「これでいいだろ。会計すんぞ。」
 なんかこいつといると引っ張られてばっかだなぁ。会計を済ませたあと何故か試着室に押し込まれて服と靴を渡された。着替えろ、ということなのだろうか。言われるままに着替える、案外動きやすい服だ。
 着替え終わって試着室を出る
「…似合わねーな」
「余計なお世話だ」


そのあと市民街と下町を回っていろんな人と友達になった



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