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「ん…んー?」

目を擦るとぼやけた視界がはっきりしてくる。あ、目痛い
「今何時ぃ」
時計を見ると短針は8をさして長針は12をすぎた位置にある。8時過ぎ、か。風呂入ろう。
まだ寝ている麗花と優希を起こさないように床に足を付けて風呂場へ向かう。脱衣場に服を脱ぎ捨てシャワーをかぶる。きもちいいー
 風呂から出て服を着る。もう麗花と優希は起きて。お腹すいてる?と聞くと二人(二体?)はうんうんと頷く。キッチンで昨日買ったポケモンフーズを皿に盛って優希のだけお湯で潤かす。こっちのほうが食べやすいだろうと思ったから。
「あい、どーぞ」
 目の前にポケモンフーズを出すと嬉しそうに食べる二人。私もご飯食べよう。冷蔵庫を開けて卵を取り出す。お茶碗にご飯を入れて真ん中にくぼみを作る。さて皆様何を作ってるかお分かりでしょう。TKGです。
「TKG嫌いな人とか絶対損してるって…」
 醤油をかけて適当に混ぜる。テーブルに移動してもぐもぐしたあと使い終わったスプーンと器をキッチンのアレ。なんていうんだろう。水道とかあるとこ。あそこの桶に入れて水をかける。ついでに麗花と優希の器も入れてスポンジに洗剤をつけて洗う。水で泡を流して水を拭いて…いちいち工程を細かく言う必要あるの?字数稼ぎ?
 時計を見ると時計は8時30分になってたどうせマンションの近くだから45分くらいに出ればいいだろう。
「よいしょ。」
 ソファーに座って天井を見つめる。こっちに来てからそんなに日にち経ってないのに慣れすぎじゃね私とか今日のご飯何にしようとかどうでもいいことを考えて、ふと思ったのは向こうの世界のこと。まぁどうせ私は向こうで死んだから気にしなくたっていいんだろうけど。なんか虚しいわ、ミナちゃん泣いちゃう。
【ミナ?】
 優希が自分の名前を呼ぶ。変な顔してたかな。ふざけててもやっぱり寂しいんだよ、悲しいんだよね。猫、大丈夫かなぁ
時計はまだ36分を指していたけどこの気持ちから逃れたくて、二人をボールに戻してマンションを出る。ホームシックは辛いねぇ…


「今日から入ったミナです。よろしくお願いします」
 軽く頭を下げる。まず仕事を覚えてもらうということで優しそうなポニテのお姉さんと一緒に作業をすることになった。
「私はチカ。よろしくね、ミナちゃん!」
「はい。よろしくお願いします。チカさん」
 そう言葉を返すとチカさんはむぅと難しい顔をして私の肩をがしっと掴んだ。その行動に驚いて硬直してるとチカさんが「それなしで!」と大きな声で言う。それ、とはなんのことだろうかと首をかしげているとチカさんは「だから!それ!敬語!」と私を指差す
「でも、先輩ですし」
「ダメ!なし!先輩命令!」
 絶対に譲らないという顔をしている。このままじゃ仕事も教えてもらえないし仕方なく了承した
「じゃあ、よろしく。チカ」
「はい!じゃあまずは…」

省略

「はい、これで仕事内容は大体全部だよ」
取りあえず裏方頑張れ!と言って接客しに行ってしまった。自分は皿洗いを任されたので台所に行く。一人暮らしだったからたいていの家事は出来る。
「やっちゃおー。」
スポンジを手にとって皿を洗い始めた。



「ミナちゃーん。そろそろ上がっていいよー」
「あ、はい。」
 偶に皿洗い以外でレジとか任されたりして無事にバイトが終わった。
先輩とかオーナー兼店長も優しいし仕事も地味に楽しい。当たりくじ引いた気分
「ふっふふーん。」
調子に乗って鼻歌歌ってすぐ近くの自宅へ戻る。これそのうち太りそう…いや何も考えなくていいか。そうだ、うん。ほら、大丈夫だようん。
「ん?」
二つの人影がマンションに入っていく。クダリさんとノボリさんだ、そういえば住んでるって言ってたっけ。
なんとなくそこでボーっと立ってて二人の姿が見えなくなってから私もマンションに入って自分の部屋に戻った。
そのあと麗花と優希にご飯を作って自分の分のご飯食べてお風呂に入ってベッドに潜り込んだ
「なぁんか。不思議だよなぁ」
自分が知らないものが存在してる世界でのうのうと暮らしている。向こうの世界では自分が死体になっている。
変な気分だ。死んだのに生きてるなんて。
 カタカタとボールが揺れた。麗花だった、暗い顔してるとぶっ飛ばすわよみたいな顔してる。まいっちゃうなぁ。まるで昔の親友だった人にソックリだ
「おやすみ」
意識は自然と薄れていった。







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