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「女の子に手をあげちゃダメだよ?」

「…な!離せ!お前もポケモンを解放しろ!」
てる君は懲りずにクダリさん(流石に覚えた)に私に言ったセリフと同じことを言う。クダリさんはクスリと笑って「イヤ」と言った。正直だな
「君たちだよね、最近ここら辺でうざったいことしてるプラズマ団」
ぷらずまだん
聞きなれないな、ロケット団とは違うものなのだろうか。あぁそういえばロケット団はポケモンを集めていたっけか
「悪いけど最近嫌なこと続きで虫の居所が悪いの、だからさ。」
そこまで言うとてる君もといプラズマ団の胸ぐらを掴み少しだけ上に持ち上げ笑顔を消した
「出てってくれるよね?」
その声はとてもドスの聞いた低い声だった。プラズマ団も流石に怖くなったらしい、周りの仲間を引き連れて逃げていった
呆然とする自分に向き直りクダリさんが「大丈夫だった?」と声をかけてくる。若干自分も怖いんですけどアナタが、という言葉は飲み込んで「はい、ありがとうございます」と返す
遊園地の客はワッと逃げ出しすぐさまカラッぽになる遊園地、残ってるのはクダリさんと私だけ。なんか寂しい。気づかれないように小さくため息を吐いた
「じゃあ、これで」
「待って」
立ち去ろうとするとクダリさんは私の手を掴む。何かまずいことをしてしまったのだろうか
「この間は助けてくれてありがとう。良かったらお礼させて?」
記憶違いでなければクダリさんはこんなカタコトではなかったと思うのだけれど。
「でも、勝手にしたことですし結局役に立たなかったので…」
「それでも、」
ダメ?と首を傾げる。あぁクダリさん何それ可愛いじゃないですかあざとい。仕方なく私は好意に甘えることにした、別にクダリさんの可愛さにやられたわけじゃない。
「じゃあ一緒に来て」
腕を引かれる。よろけながらも着いていった


「はい、あげる!」
あのあとヒウンシティというところに連れてこられた。どういうことなの。ヘトヘトになった私に少し待っててと呟いてどこかへ行ってしまったクダリさん、戻ってきたときにアイスらしきものを私の目の前に出す。
「ありがとう、ございます」
不思議そうに見てるのがバレたのか、ヒウンアイス、知らない?と言われてしまった。知らない、と首を横に振ると「すっごく美味しいから食べてみて!」と言う。しかしクダリさん本当に口調変わってないかい。
このままにしても溶けるだけなのでヒウンアイスと呼ばれたそれを口に含むと冷たい感覚とともにふわっと甘い味が口に広がる。あ、美味しい。
「どう?」
そう言って覗き込んでくるクダリさん。美味しいです、と笑って返すと嬉しそうにクダリさんも笑う。
あとから聞いた話ではヒウンアイスはとても人気ですぐ売り切れてしまうらしい。よく買って来れたな、と思ったけどクダリさんがあらかじめいっこ残しておくように言ってあったらしい。何故か申し訳なくなった。

家に帰ってソファーに腰を下ろす。優希と麗花も疲れたらしいぐったりとしてクッションに凭れている。バイト、大丈夫かなぁ…なんて思いながら時計を見た。もう7時だ。遊園地に行ったのは昼くらいだったんだ。
お腹も減ってないしこのまま寝ちゃおうかな。あ、でも風呂入らなきゃ…いいや明日8時くらいに起きて入っちゃおう。私は20分くらいで風呂は済むしバイトにだって間に合うはず。
「あー…ねむ…」
ベッドに行く気力すら無くてそのままソファーで眠ってしまった



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