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「あー…よく寝た」
今何時だろう
あ、8時か
「さて、行きますか」
勝手に出ていいのかって?
いいんだよタブンネに手紙持たせたから

【全く、よくあんな恐ろしい目にあってからそんな呑気でいられるのかしら】
「怒るなよ、もうしないって」
【当たり前よ】
さて、麗花ちゃんのツンデレっぷりも戻ったしこれからすべき事をするか

そう、これからすべきこと…それは
「住居と職を探すのさ」
【実家から追い出された人みたいね】
「的確だな」
だか私の母さんは麗花なのだよ
なんかコジョンドになった時から偶に頭撫でてくれるのよね
アレか好き
「ところでアーケンは?」
【こっちのボールにいるわ】
そう言って麗花がボールを出す
よしよし、まずはお話からしようか
「出ておいでー」
そう言ってボールを投げる
ポンッと音をたて出てきたのはカラフルな始祖鳥だった
あれ?始祖鳥だよね?牙あるもんね?
「ねーねー君ー」
声をかけるとビクリと体を揺らした
怖がっているらしい
【怖くないわよ、頭は悪いけど】
「余計なお世話じゃ」
【こ、こないで いや ひと きらい ひと いや】
目をつぶって手で自分の体を覆うアーケン
こりゃヤバイな
「お、おい…本当に大丈夫だよ?危害を加えないから…」
【いやだ!】
ガリッ
「っ!」
迂闊に手を出したのがまずかった
警戒心バリバリなアーケンに手をひっかかれてしまった
意外にも爪は鋭かったらしい
掌に三本の赤い線がついてしまった
お洒落ではないな、うん凄い痛い
【大丈夫?ミナ、馬鹿ね】
「一言余計じゃね?」
【おこら ないの?】
どうやら自分に危害を加えたというのに何故怒らないのかが不思議でならないらしい
「怒ってほしいの?」
【っ、いや!】
「じゃ怒らんくてもよくないか?」
【だ、だって】
「だって?」
アーケンは俯いて喋る
【まえのごしゅじんさまぼくをなぐった、つかえないっていった、いたくて、つらくて、てにかみついたらまたなぐった けった きづいたら しらないところいて】
どんどん声も表情も暗くなり遂には泣き出してしまった
「え、ちょ、泣くなよ…捨てられたのか?」
【う、ん】
「大丈夫、私は捨てないよ」
そもそも自分のじゃないけど
【うそ、だってひとはぎぜんしゃだって ぜったいうらぎるって
 しんじちゃだめって いってた 】
偽善者とかどこで知ったし
「誰が言った?」
【ながくて あおっぽいくろであかときいろまじってて めがこわかった】
人間じゃない?のかな
「あー、でもわからないな…偽善者かもね」
【…】
「もしかしたら私は下心を持って君に近づいてるのかもしれないなー…でもなんかなー、放っておきたくないんだよね。なんとなく」
【なんで?】
「んー…君が独りぼっちだからさ、守りたいんだよ」
【ひとりぼっち…】
なーんかなー…うまいこと言える脳でもあったらいいんだけど
「うん、だからさ、一緒にこない?」
ナンパみたいになってきた
【いっしょに…】
「まぁ、ゆっくり考えてくれや」
【いく】
え、はや
ゆっくり考えてって言ったのにコンマ1秒すらもかからずに決めたぞ
ゆっくり考えてくれや行く
みたいなテンポだったぞ
【ぼく、がんばる、たたかうこともおてつだいもがんばるからすてないでくれる?】
悲しそうにそう問う
「捨てないよ、もし捨てたら私を噛み殺してもいいぞ」
【しっ、しないよ!】
可愛いな、シビル丼と同じ感じだな
うん?丼になってる?いやー、ちょっとわからんね
「んー、まぁえっとねぇ…名前つけていいかな」
【なまえ?】
「そうそう、このコジョンドは麗花って言うんだ、んで私はミナ」
【ミナ?れーか?】
あー、可愛い
ショタだねこのアーケン
【ぼくのなまえ あーけん】
「それは…種族名じゃん?ほら、固有名詞をつけようって話」
【こゆーめいし?】
「えっとねー…自分は私っていう生き物なんだよ、んで人間はいっぱいいるからそれをわけるためにもう一つの名前をもらうんだ、」
【にんげ…?なまえ もういっこ?】
難しかったかな
頭かかえてるよこの子
「あだ名みたいなもんさ」
【あだな!】
おぉ、わかったのか
あぁ…母性本能がくすぐられる
【あだな!あなだつけて!】
「あだな、だよ」
【あっ】
あなだてお前、あなだって可愛いな
「んじゃー優希」
【ゆーき、ゆーき?】
「そうそうゆーき」
【ゆーき!ゆーきー!】
鼻血出そうですどうしよう
麗花が凄いきめぇよお前みたいな目で見てるけどそんなことどうでもいいくらいに可愛いよこの子
あ、私おっさんかもしれない
胸はあるんだけどな
【ミナ、ミナ】
「ん?」
【ありがとう!】
「どういたしまして」
よろしく優希


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