トワイライト | ナノ



背後からきつく抱き締められ、首筋を舐めあげられた。性的にも感じられるそれは、しかし恐怖しか覚えない。リップノイズをたてて首を這う唇と舌は動脈でも探っているようだ。
慈しみとは程遠い厳しさで、牙ともいうべき尖りきった歯が刺さる。皮膚が破ける音がした。想像したよりも大きい痛みに声をあげると、その開いた口に筋張った長い指が潜り込む。嫌がらせが、ぬめつく舌を二本の指で掴まれた。異物感にえづくと、今度は愛でるように上顎や舌の裏をとろりと撫で回す。滲んだ血を歯で押し出し、舐めとるような仕草で体内に運び込まれる。

「んっ……り、おっ……」

回らない舌のせいで酷く幼く名前を呼べば、満足したのか咥内から指を抜き取った。名残惜しげに傷跡に口づけを落とすと、なんだと返事された。

「……痛かった」
「すまない」

笑みを含んだ声で謝られてもなんとも思えない。

「血っておいしいの」

訊ねると黙って人差し指に歯をたて、血の溢れるそれを差し出した。怯みながらそれを口に含むが、たいして美味しくもない。鉄っぽく、喉に絡む液体だ。
それをそのまま口にすると、笑って頭を撫でられた。
私の首の傷も、DIOの指の傷ももうない。月明かりに浮かびあがるDIOの首の傷は、癒えない。

ミッドナイトブルーに揺蕩う
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テーマ「人外ファンタジー」
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