「ホルマジオお水ー」
「しょぉがねぇなぁー」
しょうがないなんていいながら、剥いたりんごまで添えて甲斐甲斐しくベッドまで運んでくれるんだから、ホルマジオも大抵兄貴気質だと思う。
「ありがとう」
「そのうちリゾットがリゾットでも持ってくるぜ」
「……リーダーって料理できるの?」
「パスタは伸びてる、肉は焦げかけ、味付けは普通」
「あー、うん……」
レアと言い張るギアッチョの生焼けとどっちがいいだろうか。
「お前は不器用だよな」
「え、あたし?別に普通じゃない」
「ちげぇよ、仕事の話だ」
足の銃創、手首までの凍傷、確かに不器用かもしれない。
「でもスタンド使い二人いるなんて聞いてないし、射程距離短いし……」
「俺だって短けぇよ」
確かにホルマジオは傷をつけるまで近距離だし、相手がかなり縮むまでは危険だ。それでもホルマジオが怪我をしているところなんて見たことがない。
「ホルマジオって頭いいんだ」
「誉めても水ぐらいしか出さねぇよ」
「あ、ありがとう」
空になったグラスに水を注がれる。うーん、風邪じゃないし自業自得なのに、こう世話を焼かれると、うれしい。
「ギアッチョとかはよく怪我して帰ってくるよね」
「ホワイトアルバムでも衝撃は吸収できねぇからな。この前なんて自動車にひかれてだぜ」
「ギアッチョぉ……」
先々月、メローネがバイクでギアッチョをひいていたが、ギアッチョは全然こりていないのか。運転も荒いらしいし、変なところで猪突猛進だ。
「スタンドってのは頭の使いようだしよぉ、アルベルタのスタンドだって普通人殺せねぇよな」
「そうだよね……。ただのマジックに使えそうなスタンドだよね。右手、左手、どっちだーみたいな」
「ああ、コインとかで……。わりぃ、俺そろそろ仕事だわ」
「あ、うん。引き留めちゃってごめんね」
「飯はリゾットにあーんして貰えよ」
「なにそれこわい」
本気で恐ろしいと感じるあたしに前を向いたまま手をふるホルマジオ。見えないだろうが、無事な左手をふりかえした。
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