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成功と幾つかの結果を収め、暗殺という仕事に違和感を覚えなくなった頃、プロシュートに食事に行かないかと誘われた。あたしは味に厳しいプロシュートを信用して、ほいほいと着いていくことにした。

車内は無言だ。それもそのはず、接点があまりない。プロシュートはペッシの教育係だし、プロシュートが「家」にいることは少ない。仕事も近距離じゃないといけないあたしと一緒にしたことはない。会えば話すし別段苦手ということもないため、勿論車内の沈黙は全くもって不快なものではない。

「プロシュート、どこいくの?」
「アーリオオーリオペペロンチーノの旨い店」
「わあ」

アーリオオーリオペペロンチーノ。材料や作り方がシンプルなだけに、味の違いがはっきりわかる料理。プロシュートが美味しいというなら期待大だ。
市街地から外れて海へ向かっているから、もしかしたら海辺のバールなのかもしれない。

「アルベルタ、お前、昨日仕事あっただろ?」
「うん、記念すべき五十人目」
「……慣れたか」
「そんなことあると思う?」

プロシュートはいいや、といってハンドルを切った。正面に海が見える。色味の違う二つの青が鮮やかだ。

「おまえは」

人を殺すことで生きる覚悟はあるのか。ギャングになるというのはどういうことか分かっているのか。
プロシュートはそういう事を言った。

「人を殺す覚悟、なんて、多分一生掛かっても身につけられないと思うけれど、何をしてでも生きる覚悟なら、ある。ギャングって良く分からないけど、あたしはあんた達のチームに拾われたの。救われたのよ。忠誠を誓えと言うなら、あたしはあんた達に誓うわ」

あたしの答えは及第点に達していたのか、プロシュートはああ、分かったと言った。
スカイブルーの屋根の民家のようなバールが見えた。あそこだろうか。朝ご飯のパニーノはもうすっかり消化されたみたいだ。お腹が減った。
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