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『仲間のいない残りひとり』、暗殺チームのリーダー、リゾット・ネエロ。彼は何を思ってこのサルディニアまできたのだろうか。
俺が直接戦った老化させる男は、娘を守るためには仲間を切り捨ててでも自分を倒すべきだと言った。アバッキオを失った今最期までスタンド能力を解除しなかった男の言葉を、俺は完璧に否定することはできない。
彼らの暗殺という失敗の許されない任務では不確実なものがあってはいけない。仲間を切り捨ててでも、任務を遂行してきたのだろう。任務の遂行と部下を守ること、どちらもできると考えるなんて彼らからすれば甘えた考えかもしれない。
それでも、俺はどちらもあきらめない。『残りひとり』になるなんてまっぴらだ。
俺が仲間を守り戦うと決めたように、彼はいくら仲間が彼の横を通り過ぎようと生きると決めたのだ。生き抜く覚悟は死に向かう覚悟と変わらずに重い。だから俺は敬意を払おう、誇りのために組織を裏切った、『裏切り者』のリゾットチームに。








お話はこれでおしまい。あたしはみんながどんな死に方をしたのかよくしらないし、リゾットがそれからどうしたのか、ボスはどうなったのかなんてさっぱりだ。
それでもあたしの話は終わった。
後悔なんて微塵もない、前を向いて、目を見開いたまま死ぬんだから。つまらないような人生が、目覚めて動き出して、さよならもありがとうも、陳腐な言葉なんていらないくらいの金色に輝いていて、あたし達は最後まで生きていた。あたしの魂だか精神だかに殉じたの。
あたし達はいつだって、どんな暗い闇の中、どんな底なしの沼に溺れていくときだっていつだって星を見ていたよ。








バールにつくと、こちらに気づいたアルベルタが手をふった。
斜め前の席にホルマジオ、イルーゾォ、プロシュート、ペッシ。一番近い席にメローネとギアッチョ、アルベルタがいる。客も、店員も、俺達以外には誰ひとりとしていない。
アルベルタの右側に腰掛けた。誰かの食べかけのピッツァマルゲリータを頬張る。トマトの酸味がおいしい。溶け残るくらいたっぷりの砂糖をコーヒーにいれて飲み干した。疲れの抜けない体に染み渡るようだ。

「おつかれ、リゾット」

アルベルタが俺に声を掛けたのを皮切りに、黙々とそれぞれの好きなものを口に詰め込んでいたのを止めてばらばらに話し出した。

ああ、遅くなったな。
乾杯でもしようよ。
いいね。
なにに?
決まってんだろ。
「俺たちのチームに、だ。」
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