あたしの行き着けのバールはよく不定期に休んで、今日もそうだった。メローネはゲテモノ料理が好きで、当たり外れが多い。必然的にギアッチョのおすすめの店、ということになる。誰の趣味か観葉植物のたくさん置かれた店は産地直送のウンブリア風の料理が中心だ。
生ハム、イチジク、トリュフを無視してあたしはボンゴレロッソを頼んだ。無意識のつもりだったけれど、ホルマジオの唯一の得意料理っていう考えがあったのかもしれない。
きのこのソースをタリアテッレに絡めながら、メローネは携帯電話を手にする。そのままボタンを押して、かかってきた電話に出る。
「リーダーから。イルーゾォも失敗。そろそろ行けってさ」
軽い調子で言ったメローネはやっぱり目を合わせない。
「おう。……オイアルベルタ、今度はカプレーゼでも頼むか?追悼なんかじゃねぇだろ?まだ終わっちゃあいない」
席をたったメローネの後を追うギアッチョが吐き捨てるように言った。
マヨルカ焼きの皿に目を落とす。
ホルマジオもイルーゾォも死んだ。プロシュートとペッシは、わからない。メローネとギアッチョも一つの怪我もないということはないだろう。
死者への手向けは栄光の勝利。それ以外に報われるすべはない。
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