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世界中の全てがまとめて詰め込まれたような夢だった。
よく覚えていないけど、痛くて、何度も死んで、どうやっても生きられなくて、でも絶望はしてなくて諦めるなんてありえない。断固とした意志のもとで死へと自分から歩いていくような夢だった。

汗でべたべたとする肌をどうにかしたいけれど、体が言うことをきかない。足と指先が震えて、うなじに張り付く髪の毛がうっとおしかった。

夢なんて久しぶりに見る。大抵はぐっすり眠ってそのまま朝まで、だ。仕事で夜眠らなかった日があっても三日もあればもとの生活リズムに戻る。我ながら誇るべき健康体だ。

不安で押しつぶされそうな気持ちを茶化すように頭の中で適当なことを考える。ホルマジオの猫の生んだぶち、ギアッチョが踏んだガム、メローネのファッションはなんで奇抜なのに整っているのか、ボスが正体を表さないのって不細工顔だからじゃないのか。誰かといれば馬鹿な議論を交わせるのに、今じゃちっとも考えられない。
シーツが冷たいのは、汗が染みたせいだけではないだろう。
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