久々に寄った「家」は案の定汚くて、掃除しているとダイニングの椅子の上から大量のDVDが見つかった。しかも全てレンタルしたものだ。
掃除しようと思うくらいには暇だったので、面白そうなものがあれば見ようとタイトルを確認した。アクション四本、SF二本、B級ホラー、陳腐なラブロマンスが一本ずつ。特別興味を引かれるものはなかった。
今更ショップへ返しにいくのも面倒だし、返却期限なんてとっくのとうに過ぎているだろう。捨ててしまおうか。
掃除に飽きて、DVDをテレビにセットする。いかにも甘ったるそうなタイトルが気に入ったからだ。このまま寝てしまっても構わないようにブランケットも用意した。
再生し始めてから三十分もたたずに瞼が重くなってきた。リモコンで音量を下げる。どうにもどこかで見た展開で面白みに欠けると思ったら、そういえば前に見たことがある映画だ。
喧嘩別れした二人はバールでばったり会って、誤解が解けて、男の部屋でセックスして、女優のブロンドは染めているからで、ラストシーンは鳥の声で目覚めるのだ。
玄関のドアが開いた音を夢うつつに聞いて、そのまま目を瞑った。top×