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人の死に様なんて何人も見た。輪切りも窒息死も、穴という穴にペニスを突っ込まれてぼろ切れのようにレイプされた死体も、スープみたいにどろどろにしたのも、針を体内に一本ずつ入れたのだって、全部残らず覚えてる。でも、涙がでるほどえづいたのは久しぶりだった。昨晩から何も食べていないせいで、胃液しかでてこなかった。

リゾットとホルマジオ、プロシュートが二人を自動車に乗せて、どこかへ行った。埋葬するのだろうか。


広くはないリビングに、メローネ、イルーゾォ、ギアッチョ、ペッシが黙って座っている。つまらないバラエティ番組がどう考えても不似合いだ。
一晩中起きていたせいで眠いが、目を閉じることができない。少しでもさっぱりしようと顔を洗って戻ってきた時には、イルーゾォとギアッチョはもういなくなっていた。
そういえば、あたしも今日は仕事が入っている。いかなければ。

人殺しが人殺しの仲間を殺されて悲しむなんてどうかしてるけれど、まだ人間でいられたのだと思えた。まだ人間なのだと思ってしまった。
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テーマ「人外ファンタジー」
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