布の擦れる音、エスプレッソの匂いに目を覚ます。二人掛けのソファにうずくまって寝ていたため、腰が痛い。
昨晩の酒のにおいがまだ残っているリビングにはそこかしこに人が死体のように転がっていて、襲撃にでもあったような状態だ。空けたボトルはひとまとめにされ、ローテーブルに乗っていた皿は片づけられている。ホルマジオのお腹に乗っかっているイルーゾォの足をどけてやって、良い匂いの根源のキッチンへ向かう。
「リーダー、おはよう」
「ああ、名前か。おはよう」
リゾットは切り込みの入ったバケッドにプロシュット、トマト、ボッコンチーニ、ルーコラをたっぷり挟み込んだ。パニーノだ。
シンプルだけれどおいしそうなパニーノを覗き込む私に、リゾットはそれ差し出した。
「食べるか?」
「いいの?」
いいの、といいながらリゾットの手から受け取ってかぶりつく。美味しい。
リゾットはもう一度バゲッドにフィリングを挟み込む。かぶりついて満足げな顔をした。top×