Don't you cry no more. | ナノ


大抵の人が睡眠を貪っている午前三時、ベアトルはベッドの中で寝返りを繰り返していた。なんとなく目が冴えて眠れないのだ。シャワーを浴びた後にカフェオレを飲んだのがいけなかったのだろうか。
あまりごろんごろんやっていると、ダンテが起きてしまうかもしれない。最後にくるりと半回転したベアトルは、やや高い位置にあるダンテの顔を見上げた。
月の光も射していない真っ暗な中にダンテの姿が浮かび上がっている。銀色の髪が光っているようだ。その時、ダンテの長い睫が震えて重たげに持ち上がった。

「眠れないのか?」

薄い色の瞳がちょっとからかうように優しく笑っている。無言で頷くベアトルに、ダンテは腕を広げた。ベアトルが逞しい胸に額を押し当てて体を密着させると、心地よく刻む鼓動を感じる。いつもより濃く感じる、ダンテの匂いもする。そんな存在はしらないけれど、なんとなく父親か母親みたいだと思った。
さっきまで眠れなかったのが嘘のようだ。背をゆっくりと撫でる手の優しさにつられるように瞼が重くなっていく。

「……おやすみ、ダンテ」

「おやすみ、ベアトル。いい夢を」
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