【フリリク】告白連鎖【ゆうり様へ】
臨正←帝人。臨也がショタ化する話。臨正前提帝正要素を含めて。




「うわああああ!!えっ、ちょっ、はあ!?意味分かんない!」


正臣は子供の決死迫る絶叫を目覚ましに目を開ける。
まどろみに溶かされた思考はそれでも反応せず、ぼんやりと見つめた先には時計の短針が9時を指していた。
とろとろと起き上がり、先程絶叫した"子供の姿をしている臨也"を見つけ、笑み。


事の発端は一昨日のことである。
些細なことで喧嘩をした正臣と臨也だったが、今回は些か激しく、正臣は闇医者である岸谷新羅とセルティの元へ逃げ込んだ。
このようなことは過去にも度々あり、その度に正臣が臨也に仕返しを、と企むのだが、ほとんどが失敗に終わっている。
そのことを新羅に伝えると、彼は一つの怪しげな小瓶を片手に屈託の無い笑顔を見せた。

"相手が強くて失敗するなら、相手を弱小化させればいい"。

正臣は小瓶を隠し持ち、再び臨也のマンションへ帰宅した。
だが小瓶の液体を知られず臨也に飲ませる、という行為は存外の程難しく、つい2時間前、臨也が寝ている隙に口移しで流し込んだのだ。

その結果。
目の前で慌てふためく、池袋最凶と恐れられていた男の幼児風景がそのままここに存在している。


「……正臣くん、何したのさ」
「いやあ、別に?ちょっと仕返ししただけですよ」
「仕返しって割には随分非常識的かつ非道徳なことをするね……25年間生きてきてこんなのは初めてだよ」

だが一回りも二回りも差のある今の臨也に威嚇されても、何の畏怖の念も起こらない。
正臣は臨也を思い切り抱き締め、可愛い、と零した。


「くる、し」
「臨也さんがいつもこうだったらいいのに。臨也さん細い。色白い。温かい。ふにふにしてる」
「…いつもの俺だったらとっくに君のことを押し倒してるよ」


はあ、と半ば諦めに似た溜息を吐き、臨也はそのか細い腕を正臣の背に回した。
全体的に少し大きい小学2年生といったところだろうか。
正臣の普段より積極的な態度に、臨也の頬がほんのりと色付く。


「あ、」
「どうしたの」
「今日帝人が来る日じゃないですか。ほら、俺が2週間前に連絡して」
「は?嘘、いや、無理無理無理無理無理。絶対に無理。俺を殺す気なの?」


それもいいかも、と冗談混じりに呟いた正臣の耳元で響く小さな舌打ち。
これ以上は越えてはいけない線だと瞬時に理解した正臣は、曖昧に誤魔化して携帯を手に取る。


「臨也さん、やばい、」
「なに」
「帝人、もう向かってるって」


臨也はクッションを手に取り、怒りのままに壁にぶち当てた。


――――――――――――――――――


「お邪魔しますー…」


帝人が臨也のマンションに訪れたのは、それから25分後のことであった。
律儀にもその手には粗品が握られており、正臣はそれに入っていたケーキを取り分け、簡易的な談話会を整えた。


「ところで正臣、臨也さんは?」
「えっ、あー、いや、その、」
「お兄さんこんにちは!臨也お兄ちゃんなら仕事で遠くに行っちゃったよ!」


戸惑う正臣の直ぐ後方から、拙い幼声が響く。
これには帝人も混乱し、何とか状況を取り持とうとする正臣を押しのけ、臨也もとい園児臨也が姿を見せた。


「(ちょ、臨也さん……っ!)」
「…正臣、この子は?」
「俺の名前は奈倉!えっとねえ、俺は正臣くんのこども、」
「あああああ臨也さん、臨也さんの親戚の子供の奈倉くんって言うんだ!その、ちょっと用事があって、」


ふうん、と漏らしよろしくね、と臨也兼奈倉に視線を合わせる帝人。
幼い少年の口元が引きつったように見えたのは、錯覚であると言い聞かせ正臣はそっぽを向く。


「そっか、臨也さん居ないんだ」
「そ、そう、だから今日は悪いけど、」
「じゃあ臨也さんが来るまで待たせて貰おうかな。正臣のこと一人に出来ないし」


正臣の背に鋭い視線が突き刺さる。
胸中で臨也に対する謝罪を繰り返しながら、正臣はソファーに腰掛けた。

と。

「おいで」


挑戦的な笑顔で正臣を手招く帝人。
これには応じてはいけない、と正臣が瞬間的に悟った要因は、笑顔を硬直させ棒立ちになる臨也である。


「あの、いや、帝人、…ほら、奈倉くんも居るし」
「そっか、じゃあ横に座るだけでいいよ」
「…帝人く、…帝人お兄さん。俺正臣くんと一緒がいいなあ」
「じゃあ二人ともこっちに座ろうか」


結果的に帝人の隣に臨也(奈倉)、そのまた横に正臣と言う俗に言う川の字態勢座りに落ち着いた。
臨也はケーキを摘みながら、何としてもその子供らしい無邪気な笑顔をべったりと表面に貼り付けている。
―――策士、策に溺れる。
まさか第三者に塩水を流し込まれるとは夢にも思わなかった。
正臣は極めて普段の談笑を意識し、帝人と何気無い会話を続けた。


「あ、正臣」
「ん?っふ、ぅ…ん…っ、!?」


唐突に呼ばれた名前に振り向けば、目前に迫る赤い果実。
それが帝人が自分に押し付けているのだと理解する前に、甘酸っぱい果汁と帝人の柔らかな舌が正臣の口内を蹂躙した。
歯列をなぞるざらり、とした感触に唾液が乗り、なんとも淫靡な音が響く。
その感触にぞくりと背を震わせた正臣は、身を捩り快感から抜け出そうともがいた。

帝人は臨也の目元に手を被せ、簡易的な目隠しをしていた。
隙間から見える正臣の赤い頬と、否応無しに響く鼻に抜ける声。
小さな身体に隠し持っていたナイフを構え、臨也は帝人の首筋にそれを突き付ける。

その瞬間、少年と似非少年の思考が完全に一致した。


「((このクソガキが))」


迷わずナイフに力を込め、横なぎに払おうとしたがあっさりと受け止められてしまう。
臨也はチ、と舌打ちを吐き、半歩後退した所で身体の異変に気付いた。
薬の効果が短時間用なのか、臨也の身体は小学生から中学初期に変異していた。
その異様な光景に帝人も正臣も目を見張るが、当の本人は無表情で正臣を引っ掴む。


「奈倉くんって随分成長が早いんだね」
「帝人くんは俺に喧嘩売ってるのかな」
「腕痛いんですけどなく、……臨也さん」


言い逃れ出来そうに無い事態に、正臣は帝人のキスに頬を色付かせながら溜息を吐く。
中学生体型と急速な成長を遂げた元小学生は、打って変わって厭らしげな笑みを貼り付け、大仰に帝人に問い始めた。


「問1、俺はあと何分後に元の俺へと戻るでしょーうか?」
「なら臨也さんが元の姿に戻る前にやりますよ」
「そう上手くいくかな?問2、もし俺が正臣くんと同じ幼児後退する薬を持っていたらどうしますか?」
「……はあ?」
「問3、ケーキの取り分けたのは正臣くん以外に誰でしょうか?」


余裕さながらの笑みに、帝人と正臣の背に冷たく湿ったものが流れる。
臨也は指を4本空に立てながら、純粋とはかけ離れた不純な笑顔が駆け抜ける。
優しく、それは砂糖菓子とりも甘ったるく、にっこりと戦争の開始を告げた


「問4、帝人くんと正臣くんの飲んだ薬は、後何分で効果が表れるでしょうか?」






連鎖
さて、勝敗の決まった戦争を始めようか。






―――――――――――――――――
思い起こせばショタ物は意外にも初めてかもしれないです!
ショタと言っても今回のショタ臨也は出番が少なかったですが…クッ…!
今度機会があったら正臣のショタ化や帝人も色々書いてみたいと思ってます(*・ω・*)
ゆうり様、フリリクありがとうございました!





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