世界は(静正) 渇いた。 心が、渇く。 何を求めたわけじゃない。 寧ろ願うものなんてない。 どこから間違えた? この力を嫌い、それでも共に生き、初めて涙を流した時からか。 人を愛し、報われない生き方でも良いと決心した時からか。 この力はどちらにも使える。 人を壊す。 人を守る。 どちらにも。 これは自分の力だ。 他人のものじゃない、自分自身にだけに特別に与えられた、「力」。 もしもどちらの意図でこの力を使っても、変わり無く苦しみ、嘆くのだとしたら。 「静雄さん」 儚く微笑む愛しい人の為に苦しもう。 報われなくたって良い。 傷ついたって良い。 まだ間違ってなんかいない。 「正臣、帰るぞ」 「はい!」 世界は等しく平等に。 ―――――ー――――――――― 貴方の為に、貴方の全てを。 2012/02/26 20:59 |