譲れない独占欲



「どう言う事か?こういう事だよ」

と言うと同時に、名前の視界は反転した。

「なっ…!」


「僕が笑顔を見せるのは、本当に信頼した者の前だけだよ」チュッ…

「んっ…」


妖艶な笑みと共に、触れるだけの優しい、でも長いキス

「はぁっ……
ひ…雲雀さんっ…?」

「可愛い。その目…誘ってるの?」

ようやく離れた唇から問いかければ、雲雀は目を細めた。

「ち…がいますっ!」

「ふうん?」

慌てて否定をすると、じっと瞳をみつめられる。
名前は戸惑いを隠せずにいた。

「あ…の?」

すると、雲雀はふっと離れてわざとらしい仕草で口を開いた。

「ああ、今日は凄く遅くなっちゃったから学校に入れないな。
今日は応援室に行くつもりだったのに。
って事で君、今日泊めてね」

「えっ…えっ…!?
いや、使える部屋はたくさんあると思いますけど…………」



>
「泊めてくれるんだね。助かるよ」

「あ…はっはい。こっちの部屋を使ってください」


名前が示したのは、本来寝室として使っていた部屋だ。


「じゃあこの部屋借りるね。」ヒョイ トスッ

そう言うなり、雲雀は名前をベッドの上へ。そして自分自身も…。


「な…何してるんですか!?」

「真っ赤だよ?何するかなんて、もう分かってるんでしょ?」

そう言うのを聞くが早いか、なおも言葉を発しようとした唇は、柔らかいものでふさがれた。

それが雲雀の唇であると気づくのに長くはかからなかった。

「んんっ…!」




「君さ、違う所から知らないうちにここに来ちゃったんでしょ?」


唇が離れるとすぐに、いたって真面目な顔でたずねられる。


「知って…たんですか!」

「勿論知ってたよ。だから、僕が君の事守ってあげるよ。
君に拒否する理由も権利もないでしょ?」


「雲雀さん…
ありがとうございます!」


そう答える名前の瞳からは、一筋の光がこぼれていた。


「まあ、襲うのも僕だけどね?」






「………えっ!?」

思いもよらない言葉に、涙もどこかへいってしまった。


「そんなに全身に力入れなくていいから…」


抵抗をする前に、両手の自由を奪われてしまう。


「いや…ちょ……!?雲雀さん!?」

「僕の笑顔が見たいんでしょ?」

雲雀は、間髪入れず少し強い口調でたしなめてしまう。


「そうですけどっ…
……そんな笑顔で言うなんてズルいです………」


「そうだ。君には風紀委員に入ってもらうよ。」

名前の耳近くの髪を指で遊びながら、あくまで決定事項であるように言う。


「な…んで…ですか……?」

「いつでも僕の前にいること。」


真意が見えず、雲雀の目を覗き込んで問えば、雲雀は薄く笑ったまま答える。


「名前は僕のものだ。
他の誰かに自分のものをとられる程不快なことはないからね。」


「雲雀さん……」


引っ込んでいた涙も、また瞳からこぼれてしまう。

「またご飯作ってね。」チュ…

「はい……!」

暑くなった目蓋に優しく唇を寄せ、涙を取り払ってくれる。




「さて、じゃあ今日は寝ようか。」

「はい!おやすみなさい。」

「何言ってるの?そっちの寝るじゃなくて…」

「え…!?やっ……雲雀さん!?」




「元の場所に戻っても忘れられないようにしてあげる」



―――――――――――――――
何だか恥ずかしいなあ、もう!
今更ながら雲雀さんのキャラがふわふわです←

ひたすら甘い雲雀さんもいいかなぁ、と(笑


葵都


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