霧が夢中1




二人から強引にキスをされて数時間。


自室に戻り寝支度も整えたものの、どうしても目が冴えてしまう。

「どうして……?」

そっと自分の唇に触れてみるも、思考が受け付けないのか、自分のものではないみたいだ。


二人と知り合って数年、まさか、こんな風に頭を悩まされる時が来るなんて思っていなかった。
二人ともボンゴレのエリートもエリートで、私みたいな雑務担当なんかが本来関われるような人じゃない。

「なんで私が……」

何を考えても何も思いつかなくて、ベットに頭まで潜り込む。

「君は自分の魅力に気づいていないようですねぇ…」

「!?」

聞き覚えのある声に飛び起きると、部屋の入口に骸さんが立っていた。

「え、なんで…!?」

「君に会いたいがために早く任務へ出かけたはいいですが、雲雀くんに横取りされるとは…」

肩を竦めて扉にもたれかかる。
その場から動こうとしない骸さんに何か違和感を感じる。

「あの、骸さん?お茶くらい入れますから、こちらにどうぞ…?」

私自身もベットからおりてキッチンへティーポットを取りに行く。

「骸さん…?」

茶葉を入れたポットと二人分のカップを持って戻ると、骸さんはまだ扉にもたれていた。

「名前、君はこの部屋に来たら誰にでもそうするんですか?」

骸さんはその場から動かず、視線だけこちらにやって聞いてくる。

「例えば、雲雀くんとか…」

いつもはあまり見せない真剣な視線に、言葉が詰まってしまう。

「あ…あの…」

「不躾な事を聞いてしまいましたね。少し、休んできます」



皮肉めいた笑みを零して出て行こうとするその背中を、私は見逃せなかった。


気づいたら体が動いてて、気づいたら骸さんの腕を掴んでいた。










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