走る


―タタタタ…

その男は走っていた。
もう数キロ走っているのにその男には余裕さえ見られた。

早く奴の所に行きたい、そんな感情が彼のスピードを更に上げた。

だが一向に彼のスピードが増すだけで、全く息があがる様子めない。
彼がマラソン選手というわけでもない。
なんと言っても彼の身なりは、黒の革靴に長ズボン、白いカッターシャツに肩から掛けた黒い学生服。
その袖には金の刺繍で『風紀』と刻まれた腕章。

そう、この男こそ、並盛中風紀委員長にして最強の不良、雲雀恭弥である。



彼の頬から一粒の汗が落ちた時、彼は立ち止まった。

「ここか。」

彼の見上げている先には『黒曜ランド』の文字。
普段ここは荒れ果てた場所のはずなのに、多くの人で賑わい、光が宿されている。
そんなおかしな事があるはずない。
「ここに奴がいる。」

そう一言呟くと彼は、何度も言いかえして覚えた場所へと向かうため、黒曜ランドに足を踏み入れ再び走り出した。


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