ただいま!

そう笑う青年は、昔の面影を残したままの謙也だった。笑う姿も髪型も全て昔のままだ。身長は少し伸びただろうか。
しかし、本物なのだろうか。触っても消えたり、逃げたりしない本物の忍足謙也なのだろうか。

「謙也…?」
「なん?」

試しに名前を呼んでみたら、にこりと楽しそうに笑って答えた。
間違いない、謙也だ。正真正銘本物の忍足謙也だ。


5年間の思いが溢れだした。

「おかえり…!!ずっと待っとった…ずっと覚えとった!!」

気づいたときには、謙也を腕の中へ閉じ込めて5年の思いを溢した。聞きたいことは沢山用意していたのに、今では全く意味がない。

会いたかった、会いたかった。ずっと会いたかった。

壊れた機械のように、ずっとずっと繰り返す。

「おれも、ずっと会いたかった…暗闇の中で白石に会うことだけ考えよった…この暗闇さえ我慢したら白石に会えるっていっつもいい聞かせよった…」
「謙也…?」

突如、腕の中で肩を震わせる謙也に疑問を持ち、謙也の顔を伺うと涙に濡れた瞳と目があった。

「…忘れとったらどうしようって…白石が知らん人になっとったらどないしたらええんやろ、っていっぱい悩んだんやけど…会いたかった、白石に会いたかった…」

涙ながらに話す謙也が愛しくて愛しくて、抱き込む力が強くなる。帰ってきた、また隣にいてくれる。

5年前の約束を、5年間の想いを──


「ずっと、謙也が好きやった」


言葉が終わるのと同時に5年振りの口付けを交わした。
さよならじゃなくて出会いの口付け。



そしてこの想いを貴方に。




end






一応これにてTOUCHは終わりました!最初、書き始めたときはまさかここまで長くなるとは思いませんでしたが、書いていてすごく楽しかったです。
とても中二病乙な内容だったので、自己満になっていないか心配でしたが、皆様からの暖かいコメントのお陰でここまで書ききることができました。
今までTOUCHを応援してくださった方々本当にありがとうございました。

続いて蛇足程度のものが有りますのでよろしければ見てやってください!








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