女装(ナース)白石×謙也
下品
R15
親友兼恋人はいつもと様子が違った。朝から上機嫌に鼻歌を歌ったり、1年のゴンタクレを珍しく叱らなかったり、バカップルのボケにツッコミを入れたり。とにかく、気分が良さそうだった。どうしたのか、と聞いたら「ひ・み・つ」と意味有りげな答えが帰ってきた。
そして放課後。結局なぜ上機嫌なのか理由は全く分からなかった。
今は、明日行われる学園祭での出し物を用意するのに忙しかったため、また理由を聞きそびれそうだな、と溜め息をつき、慣れない手つきで女装喫茶と掛かれた看板をトンカチで叩く。
いっときすると、看板に映る自分の影に背後からニュッと人影が伸びていることに気付き、後ろを振り向くと──
「ナース服似合う?謙也君?」
「……」
ナース服を自信満々に着こなした恋人を見て思わずトンカチが手から滑り落ちる。猫なで声に思わず鳥肌がたった。振り向くんじゃなかったと後悔した。
相手にしない方がいい、と今までの経験が警報を鳴らしていた為、トンカチを持ち直し直ぐ様作業に戻った。反応がつまらなかったのか、ナース服を着た男はズシリと全身の体重を俺の背中に預けるようにもたれ掛かってきた。
「謙也、無視?」
「……おさわり禁止ですよ」
「それは俺が使うセリフや」
男の手はもぞもぞと体を這う。最初こそは肩を撫でたり背中を指でつついたり、じゃれあい程度だと思い放っておいたが、段々と手の動きが怪しくなってきたのには案外早めに気付いた。腹の辺りを撫でたり太股を厭らしく撫でたりする手つきはあの行為を彷彿させるようなものだった。顔が赤くなるのがわかる。体を避けようとしたが、全身に掛かる体重に逃げることは出来なかった。反応に気をよくしたのか口を耳元に寄せ、包帯の巻かれた左手はスッと自身の左手を掴んだ。
「こ…こ教室やで…」
「ほな行こか、謙也」
俺がこれに弱いのを知った上で、甘いテノールボイスで囁いた。
捕まれた左手に引っ張られるまま立って、どこに行くかも分からないまま付いていった。
連れて行かれた場所は校舎から少し離れた所にある男子トイレ。人気のない裏庭近くにあってほとんど人が入ってないことが伺える。もちろんこんなところにトイレがあるなど俺は知らなかったが、手を掴む相手が保健委員だからとどこか納得してしまう自分がいる。入った瞬間人は居ないかと見回したが、居ないことを確認して安堵の息を吐いた。安心したのもつかの間、グイッと腕を引っ張られ個室に突っ込まれる。便器の蓋の上に座らされ、噛みつくようにキスをされる。
「んっ……ぅ…」
出来るだけ声を出さないようにと口を閉じようとするが、入り込まれた舌のせいでそれは不可能だった。
やっと解放されたときにはぐったりと前のめりになってナース服の男に抱きつく格好になっていた。ボーとする頭で男の姿を確認すると、やはり着こなしてるなとどこか感心した。
「なんやそんな見つめて、あ、惚れた?」
「アホか…」
「せやな、謙也は俺にずっと惚れとるもんな」
違う、と声を出そうとしたがそれは男の唇に飲み込まれた。離れた唇から出された言葉を聞いて目眩がした。
「お医者さんごっこしよか」
ニコリと優しく笑う姿は男が見惚れるほど美しいものだったが、言われた言葉に、はいそうですか、と答えれる筈もなくどうやって逃げようかと思案している最中、視界が真っ暗になった。最後に見えたのは光悦そうに笑う男の姿。
「なに…したん…」
「包帯で応急処置」
やはり男の声はどこか弾んでいる。暗闇から、男がどのような顔で笑っているかは分からなかったが、至極楽しげに笑っているに違いない。
「…これで…ほんまにやるん」
情けなくも声が震えた。
視界が遮断されると、次に何をしてくるのかが分からない。それが怖かった。神経を研ぎ澄まして音や呼吸を聞き取ろうとしたが、次の男の行動に研ぎ澄ました神経が崩される。
「っひ…!?」
何の前触れもなくヒンヤリと冷たい手がスボンの中に入ってきた。もちろん、緩められていないズボンの中に無理矢理ツッコンでいるためかなりの圧迫感があった。
「あか…ん…!」
「腫れてますね、忍足さん」
間違いなくさっきのキスのせいだ。誰のせいだ、と言おうとしたがやんわりとくる快感に思わず押し黙った。やんわりとしながらもピンポイントを狙ってくる快感に耐えきれず、目の前にいるであろう男に懇願した。
「さわって…」
しかし男は願いを聞き入れてくれず、物足りない感覚がじわじわと侵食していく。身を捩ると、目の前の男がなにかを思い付いたかのように手を離した。見えない。今、男が何をしようとしているのか。すると、カチャカチャとベルトを外す無機質な音がしだした。解放されたそれにブルリと体が震えた。次に聞こえたのは男がゴクリと生々しく唾を飲み込む音だった。
「…腫れ物とかは舐めたら治るとか言いません?」
ヤバい。と思ったが逃げれる立場ではなかった。腰を引こうとしても、後ろのタンクに腰を打ち付けるだけだった。
痛みに耐えていると、自身を生暖かいものにくるまれるような感覚が走った。
「…ひっぁ…あ…」
いきなり襲ってきた快感に情けなくも声が盛れた。もし、近くを誰かが歩いていたら俺は恥ずかしさで憤死してしまうだろう。それだけは避けたくて口を手で覆った。
「声、我慢するんや…」
どこか残念そうに呟いたのは、自分の自身を舐めていたナース服の男。しかし、呟いて直ぐにまた男の口は自身を包む。丁寧に舐めるが確実に自分が感じるところを狙ってくるのが、この男の嫌なところだ。
「……っふ…」
じわりじわりと射精感が訪れる。視界が見えない中、自分はいったいどんな情けない姿をしているのだろうかと考えた。
「白…石…イクっ…」
手を少しずらしやっと出した言葉に大きく息を吐く。瞬間、遮る物を取られ視界が明るくなった。視界に映るのはやはりナース服の男で、どこか落胆した自分がいた。
目がかち合ってすぐに顔が近くまで来てキスをされた。啄むようなキスから深いキスになっていき、数回手でしごかれて、呆気なく白石の手の中でイッた。
「やっぱナースはあんま好きやない?」
射精をした後の特有の怠惰感に頭は付いていかず、コクリと何も考えずに頭を縦に降ると、今まで着ていた服を脱ぎ始めた。躊躇いもなく脱ぎ捨てられ男の引き締まった体とボクサーパンツだけになった姿に思わず溜め息がでた。
「やらしい顔…こっちの方が好きやろ?」
覆い被さる男に身を委ねた。
*******
「ほんまありえへん…」
「いやぁ、すまんすまん」
謝る気など全く無いと言わんばかりにあっけらかんと笑って見せるのは、ナース服を着直した男。
自分が着ていた制服は精液やらなんやらでドロドロ。無事なのはナース服だけ。
「ジャージ取ってきたるわ」
「えっちょ、俺ここに放置してくんか!?」
「すぐかえっ……あ、せやじゃあ謙也がジャージ取ってきてや」
「せやから服が…!」
「ナース服貸したるから」
おもむろに服を脱ぎ、はい、と目の前に出してきたのは先ほど男が着ていた服。冗談だろう、と思い男の目を見るが真剣そのもので、むしろこの服を着ない方が不正解といわんばかりのものだった。
結局、ナース服を着て半泣きで2人分のジャージを取りにいったのは俺だった。
fin
やまなし・おちなし・いみなし
まさに801!
きっと白石は次の日謙也が着たナース服ハァハァってなりながら着てますよ!よっ変態!
謙也は変なところで悪運が強い(空気が読めてない)ので普通に厨房とか裏方を引き当ててますw
女装白石×謙也書けて楽しかったです^∀^
白石はボクサーパンツ派だと思います!ちなみに謙也はトランクス派!