注意
*R15
*勢いで書いたもの
*保健の先生×生徒
「謙也ほんまにええの…?」
「…おん」
問うと謙也はコクりと小さく頷いた。その仕草が愛しくって額にキスを落とす。そして啄むようなキスを何度もする。徐々に深くなる口付けにちろりと可愛らしい赤色の舌が唇を軽く舐めた。答えるように舌を絡めとると「ん…」と謙也から吐息がかった声が漏れる。下半身に熱が集まるのが感じ取れた。長い長い口付けから解放してやると、ぐったりと身体を俺に預けてとろりと甘ったるい眼差しで此方を見つめてきた。顔を見ただけて快感がぞくぞくと掛け上がっていく。
「せんせ…はよしよ?」
謙也はいつになく積極的だった。いつもならキスひとつで顔を真っ赤にするのに、今日に至っては性行為までしようと言い出した。まだ一度もしたことが無いのに、だ。恥ずかしがり屋なところがある謙也からまさかこんなことを言い出されるとは思わず最初は戸惑ったが押しきられて今に至る。正直、謙也を抱きたいと言うのは前々から、いや付き合い始めてからずっと思っていたことだ。だから、案外簡単には了承してしまったことは言わなくても分かることだ。しかし、謙也は中学生。さすがに中学生に手を出すというのはダメだろうと残った理性が総動員して止めにかかっていた。ましてや、自分は教師だ。まあ、付き合っているという時点で充分に問題な訳だが。この状況をどう誤魔化すべきかと考えたが、情けなくも謙也に関しては理性が糸屑程度な自分には思い付かなかった。そんなことを考えていると、謙也の左手が自身の下半身を擦り始めた。
「謙也?」
「せんせ…あの…」
「なん…?」
「せんせぇの…触りたい…」
理性を地平線の彼方へ投げ飛ばすほどの甘い誘惑だった。
あれよあれよという間に、ベッドに座らされた俺の足の間には自身を見つめる謙也の顔があるわけで。
「せんせ…おっきぃ…」
そんなことを言われただけでイってしまいそうになる、自分の体の作りはなんとも簡単なものである。そして何より股間に対する謙也の視線が痛い。
「あんま見んといて欲しいんやけど…」
「…へ?ああっすんません…」
顔を赤くさせ急いで目線を反らす姿が可愛くて、また自身が大きくなるのを感じ取った。謙也は外した視線を徐々に戻しながら、決心したかのように舌を出した。
(まさか…!?)
まさにそのまさかだった訳で、謙也の可愛らしい舌が慣れない仕種でゆっくりと自身を舐めていく。
決して上手くはないフェラだったが(寧ろ経験のない謙也が上手かったら泣きたくなるのだが)、光悦とした表情で自身を舐める姿はなかなか視覚的に悪い。性的な意味で。はぁっと吐き出される息や自身に触れる綺麗な指先、涙ぐんだ瞳はどれも夢にまで見た光景だった。
「絶景…」
「…へ?」
「いや、なんもない…」
「せんせ…気持ちよくっ…ない?」
「気持ちええよ…」
揺れる金色の髪を撫でてやると嬉しそうに目を細めた。その姿に完全に油断した。ドクリと大きく脈打ち謙也の口内で果てた。
「あっかん…!ごめん謙也吐き出さ…な…」
言い終わる前に謙也は何の躊躇いも無しにゴクリと喉を鳴らして飲み込んだ。
その光景に思わず思考がフリーズした。そしてすぐに沸いてきたのは罪悪感。
「す、まん…!」
「なんで謝んの?せんせ…?」
「けんや?」
「はよ続きしよ」
上目遣いで覗かせた視線は14歳のそれではなかった。しかし、その前にどこか悲しそうな、怯えたような、そんな表情が一瞬見え隠れした。その一つが何が気がかりで行為を中断させようと肩を軽く押すと、謙也の双方の瞳が大きく揺れた。
「やりたないん…?俺が…男やから?」
「なに言っとんねん…」
「やっぱ先生は女の人がええんやろ…」
「謙也?」
「せや…ほんまは俺なんかと付きおうとる方がおかしいんや…」
意味が分からない。思考が追い付かない。目の前の少年はぶつぶつと独り言を呟くように涙ぐんだまま俯いた。ふるふると震える肩はいつも元気な彼からは想像がつかないものだった。気付いたときには抱き締めていた。出来るだけ優しく囁いた。
「謙也…何があったん?」
「…せんせ、が……西岡先生と付き合いよ…るって…噂が…」
「…なんやそれ」
西岡先生とは、謙也のクラスの担任で美人だと保健室にちょくちょく遊びにくる先生が話していた気がする。確か、以前2人で飲みにいかないかと誘われたが、女性と2人っきりで飲みに行く気など更々無かった上に、その日は謙也が家に来るという最高の予定があったから断った筈だ。なのになぜこんな噂が立ったのだろうか。
「その噂、誰から聞いたん?」
「財前…」
あのクソガキ今度会ったら絶対痛い目見せたる…。
多分、その誘われる風景を見られていたのだろう。以前から、財前は俺のことを目の敵にしていた節は何度もあった。俺が謙也と付き合い始めてからだ。きっとそれに上乗せするように謙也にデマを言って別れさせようとかかったのだろう。
財前に腹が立つ。がそれ以上に最初からおかしいと気付いていたのに止めることが出来なかった自分に一番腹が立つ。
ことの発端が分かっても問題が解決したわけではない。未だに、自分の腕の中でふるふると震える少年は小さく呟いた。
「先生…俺、嫌われたくなかってん…せやから抱かせたらまた先生振り向いてくれる…思っとったんねんけど…無理やった」
「ちゃう!謙也それデマやから!俺が好きなんは最初っから謙也やし、謙也以外興味ない!!」
断言すると、謙也の震える肩がピタリと止まった。涙を溜め込んだ瞳とかち合った。場違いにも、可愛いなどと本気で思ったが頑張って喉の奥にしまった。
「ガセ…?」
「ガセやな。ほんま悪ガキやなアイツは…」
「先生…俺のことまだ好き…?」
「めっちゃ好き」
「ほんま?」
「ほんまほんま」
「良かったァ…」
ああ、本当に可愛い。
一度投げ捨てた理性を全部寄せ集めて総動員させる。せめてこれだけは許してくれ、と言わんばかりに額にキスを落とす。それだけでは物足りなくて頬に瞼にと、しつこいくらいキスをする。擽ったそうに身を捩る謙也が愛しくて最後に唇に触れるだけのキスをした。
「ほな、もう今日は帰ろうか」
「先生…?やらんの?」
「今日はここまで。このままやとほんまにヤってしまいそうやし」
「…せんせ」
「あんま、煽らんといてや。俺、理性あんま強ないし…」
ズボンを履き直して謙也を立ち上がらせると、勢いで抱きついてきた。謙也の匂いが鼻を擽る。クラリと目眩がした。
「ほんまアカンって…」
「蔵ノ介」
「……殺す気か」
「顔真っ赤や」
ケタケタと笑う姿はいつもの謙也で心の中で安堵の息を吐いた。ダメだダメだと思いつついつの間にか自分の手は背中に回されていた。ほんと理性って弱い。
「なぁ…今度は最後までヤってええですか?」
「なんで先生が敬語やねん」
「なんとなく」
「ええよ。せやから…」
近頃の子供は末恐ろしいと思いながらも一向に腰に回した手を緩めようとしない自分は正直者だと思う。
─俺だけ見とってな、先生。
fin
先生×生徒は一度は絶対書きたくなるものですよね^^でも生徒×先生も書きたい。