「荒井!」
そう名前を呼ばれ振り返ると、顔面への衝撃と同時に視界が真っ白になった。瞬間顔全体が氷のように冷たくなった。パサパサと音を立てて、視界を覆っていた白い雪が足元に落ちる。
「…つめてっ…桃城!!」
「わりわり、ちょうど良いところに顔があったから」
全然悪びれた様子もなくヘラヘラと笑う桃城をキッと睨み付けると、おお怖い、とこれまたふざけた返事を返された。髪に着いた雪を一生懸命降り下ろしていたら、犬みたいだと大笑いしてくるものだから、さすがにカチンと来て足元にある雪で拳サイズの雪玉を作り力いっぱい投げた。雪玉は一直線に桃城の顔面へと向かっていった、当たった瞬間にブヘッと情けない声を上げおもいっきり尻餅をついたものだから、その状況が可笑しくて声を荒げて笑った。
「つっめてぇ…」
「ざまあみろ!!」
もう一度、次は尻餅をついた桃城に零距離発射をしてやろうと思い、一生懸命雪を降り落としている桃城にジリジリと近づいた。せえのと声を出した瞬間に、ぐらっと視界が反転した。バフッと雪の中に体が埋まった。先程の顔面など比べ物にならないような冷たさが全身に駆け巡った。なにがあったのかと足先を見ると、足首を持ち上げイタズラに成功したガキのような顔でニヤリと笑う桃城の姿があった。何すんだ!と抗議の言葉を吐こうとした瞬間、視界が真っ暗になった。え、と小さく漏れた声は桃城の唇によって塞がれた。目隠しをしていた冷たい手が離れ、最初に視界に入ったのは桃城だった。というよりも桃城しか視界に入らなかった。呆けた俺に桃城は、
「ざまあみろ」
と呟いた。
end
桃荒です!!
締めが悪くてゴメンなさい><
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