アリエッタから奇襲を受けたとき、導師イオンを庇ったアニスの母、パメラが怪我をおったこともあり、アニスは実家へ、私たちはダアトの宿屋に泊まることになった。

部屋割りは、私とガイが合い室。そしてルークが1人部屋となった。
昼に奇襲を受けた際に、彼は忘れていた記憶を取り戻した。その衝撃が大きかったようで一時的であったがパニック状態になったこともあり、彼を案じて最年長の私と合い室になった。
ルークも、俺も一緒に泊まる、と言っていたが生憎今日空いている部屋が、2人部屋が2つと1人部屋が一つしか空いていなかったため断念した。


───それに、今の彼を親友であるあの子に見せるわけにはいかないだろう。


「っ…ね…う」


ガイが眠りについてから一時間ほど経つだろうか、ボソボソと呟くようなか細い声が、彼の方から聞こえてきた。

「ガイ…?」

起きたのかと思い、彼の寝ているベッドに近づいた。
顔を覗き込むと目は瞑られたままだったが、その瞑られた瞳からはぼろぼろと涙が零れ落ちていた。

「…あ……ね…うえ…」

「…………」


取り戻した記憶がこの少年を侵食している。16年間眠り続けたある1つの記憶は、あまりにも大きすぎて彼の脳に深く刻まれてしまったようだ。
それは夢の中に出てくるほど衝撃が大きかったのであろう。パーティの中で誰よりもしっかり者だと思っていた彼の脆さを、このとき初めて見た気がした。

うなされている彼に手を伸ばしできるだけ優しく頭を撫でた。すると、眉尻が下がりしゃくりをあげながらも呼吸も調ってきた。安眠に入ったのだろうか。
幼い頃、母が留守の日に妹が泣きながら私の布団に入ってきたことがある、優しく頭を撫でてやると妹は安心したかのようにスッと眠りについた。
その時の光景と被るのだろうか、うなされている彼はとても寂しそうに見える。
メンバーの中でも私に継いで年長といっても、彼はまだ21歳だ、私から見ればまだ子供だ。
彼は16年間の間に"甘える"という動作を忘れてしまったのだろう。
"復讐"という言葉がまだ小さかった彼を覆い尽くしていたためかも知れない。
彼もまた、私の罪による被害者なのだ。金色の髪から手を離し、その手を見つめると酷く冷たいモノに見えた。ゆっくりと視線を目の前で眠る青年に向けた。


「…おやすみなさい、ガイラルディア」



──いい夢を



fin











結構前に書いたものを修正したものです(´・ω・)
gdgdで申し訳ないですoyz








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