気持ちが良いほど快晴だった。ここのところ雨続きだったが、今日は嘘のようにカラッと晴れていて雲ひとつない青い空を写し出していた。
絶好のテニス日和だが、全国大会も終わって受験が待ち構えている自分にはそんな余裕などない。なんてカッコつけたことを言いながらも、今、自分が足を進めているのは重度の放浪癖がある恋人の千歳のところ。
本当は今日は真面目に勉強をする筈だった。だが、フと外を見たとたんに無性に千歳に会いたくなって、今こうして1人で向かっている。
連絡は入れていない。それに先程も言ったが千歳には重度の放浪癖がある。部活をしていたときなど、千歳を探し回るのに何度も出動した。そして、何度も叱った。だが、千歳はへらへら笑って全く悪びれた様子もなく、すまんばいね、と謝った。それでも、許してしまうのは俺が千歳に甘いから。その後、必ず白石に雷を落とされていたのは言わなくても分かることだが。すっかりお灸を据えられて、広い肩を竦て帰ってくる姿は中々可愛らしいものだった。
そんな放浪癖のある千歳に連絡をいれなかったのは、なんだか今日は会える気がしたから。馬鹿みたいだと笑ってくれてもいい、自分でも乙女思考だと自嘲したから。だが、俺は案外本気でそう思っている。
だって、ほら。
カランカランと陽気に下駄を鳴らして歩く長身の男がへらへら笑ってこちらを見てるじゃないか。
こんにちは。昼の陽気に誘われて。
100626
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徒然様への提出物