「義兄さん」
「ん?」

手帳、と義弟が無愛想に投げつけてきた。ほんと、可愛くない。

義弟の名前は光。
今年の4月に父が義母と再婚した。そして母方が連れてきた光と義兄弟となった。最初は弟が出来たことが嬉しかった。しかも、1つ年下で同じ中学。仲良くなれるものだと思っていた、最初は。
現実とは残酷なものだった。
俺が兄なのになぜかパシり同然に扱われて、反抗なんかしたら陰湿な嫌がらせを受けるわ、とにかく最悪だった。
そんなぐったりとする日々が続く中、父と義母が俺らをほって外国に行ってしまった。父が外国で1ヶ月ほどデザイナーの仕事をしないといけなくなったらしく、義母と新婚旅行を兼ねて飛んで行った。

「はぁ…もうイヤや」
「そうですね」
「……ま、ええわ。いってくる」

早いとここんな無愛想で陰湿でムカつく義弟とはおさらばして、プリティーな小春の元へ行きたい。靴をきっちり履き玄関を出ようとしたとき、かなりの強さでグイッと後ろに引っ張られた。バランスを崩しそうになったが、ドンッと光の体が受け止めた。なんすんねん、と抗議をしようとしたが、それは叶わなかった。唇に当たる生暖かい感触に、思わず目を開ける。すぐに何事もなかったように離されドンッと前に押される。

「ほないってらっしゃい」
「ななななにすんねん!!」
「いってらっしゃいのチューですけど?」

ですけど?じゃないだろ。なんで、そんななんともない顔をしているんだ。
顔が真っ赤な俺がバカみたいじゃないか。

「アホ面…」

プッと笑われた。
ムカつく義弟じゃない。くそムカつく義弟だ。








end













財前の口調よくわかりません(´・ω・)




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